愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

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ファム・ファタール 23:24
評価:
Amazonおすすめ度:
FEMME FATALE
解りにくくエグい
デパルマがやりたいようにやった映画
2002年
監督:ブライアン・デ・パルマ
脚本:ブライアン・デ・パルマ
出演:レベッカ・ローミン・ステイモス、アントニオ・バンデラス、ピーター・コヨーテ、エリック・エブアニー、エドゥアール・モントゥート、ティエリー・フレモン、グレッグ・ヘンリー、リー・ラスムッセン、フィオナ・カーソン

そのキャリアから大監督と呼んでも差し支えないブライアン・デ・パルマ。そんな彼がこのような、誰が観ても破綻した物語と対峙する姿勢、まるで初めてカメラを手にした映画好きの少年のようなその姿勢に涙がとまらない。純粋だ、どこまでもデ・パルマは純粋だ。

ファム・ファタルとは、すなわち悪女。悪女と言えばフィルム・ノワール。フィルム・ノワールに犯罪は不可欠。男と女、サスペンスとミステリ。ってかミステリじゃねぇし。でもいいじゃない、デ・パルマなんだから。それが“映画”だ、とでも言わんばかりの本作はまさしく映画の喜びに満ちている。そのセンスはかなり古いと言わざるを得ないけど……。でもいいじゃない、デ・パルマなんだから。デ・パルマなんだから。『スネーク・アイズ』だって好きなんだから。

強いて言えば、主演したレベッカ・ローミン・ステイモスのスタイルはいいけど、お顔がどうにも女装したブラピにしか見えなかったのが難点でしょうか。トホホだった東野圭吾氏原作のテレビドラマ『白夜行』、是非デ・パルマ先生の手で『ファム・ファタール2』としてリメイクしていだきたい。
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ブラック・ライダー 01:25
評価:
Amazonおすすめ度:
大活劇
懐かしいです。
懐かしいです。
1986年製作
監督・ハーレー・コクリス
原案/脚本・ジョン・カーペンター
出演・トミー・リー・ジョーンズ、リンダ・ハミルトン、ロバート・ボーン

カーペンター先生の隙だらけでバカバカしいアイデアに、トミー・リー・ジョーンズとリンダ・ハミルトンという豪華なキャストを配しながらも、きっちりとB級魂を宿した本作。リンダ・ハミルトンなんて『ターミネーター』以後ですからね。しかもこんな映画のカラミでオッパイを晒しているのに、まったく性的興奮を刺激されないところが凄い。

アクションとチープなサスペンスとちょいエロ、映画などこの程度でいいのだ、という達観したカーペンターイズムをハーレー・コクリス監督が再構築しています。

ツッコミどころは随所に散見されますが、そういうものだと自身に強く言い聞かせる、あるいはあたりめでも齧りながら強かに酔っぱらえば気になりません。しかしながら、ビル間の綱渡りなんてそれなにりにハラハラさせられますし、それから……、それから……、それくらいでしょうか。

あとはまあ、高速自動車ブラックムーンの時代を感じさせる近未来感や、リンダ・ハミルトンの不快指数の高い髪型、皺だらけで当時から老け顔なトミー・リー・ジョーンズ、必然性を欠く和風趣味、等々にクスリとさせらりたり。能動的に楽しめる方なら本作に価値を見出せるのではないでしょうか。

ただ如何せん、アクション映画のくせに肝心のアクションがあまり面白くないというのは致命的かと。



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風雲児 信長 21:48
1940年製作
監督・マキノ雅弘
出演・片岡千恵蔵

『信長の野望』で言うと頼りにならない人材を掻き集めて育成し、ようやく内政が軌道に乗ってきたとこに今川勢が押し寄せ、さあ大変だ、というところで映画は終わります。ですから藤吉郎も勝家も蘭丸も登場しません。そもそも何故こんなに盛り上がらない時期をチョイスしたのかが疑問ですが、まあそれは置いておきましょう。

まずいきなりの水中撮影に驚かされます。ワイルドな信長くんを片岡千恵蔵が演じているわけですが、やはり顔がいいんですよね。特に父親の葬儀で抹香を投げた後の表情が素晴らしい。近頃の俳優は皆さん顔立ちが綺麗すぎて、時代劇だとどうにも浮いた印象が否めませんからね。大島渚監督が『御法度』でトミーズの雅さんを起用された時、「そうそうこういう顔だ!」と小躍りしたのは私だけでしょうか。『武士の一分』なんかでもキムタクさんの顔が綺麗すぎるんですよね、観てませんけど。

1940年と言えば、欧州ではナチス・ドイツ軍がフランスを占領して有名監督たちが続々と海を渡っていた頃です。『チャップリンの独裁者』もこの年の映画ですね。興味深いのは当時の日本には“映画法”なるものが存在し、映画関係者は皆、内務省に登録させられたのだそうです。

それはともかく、欲を言えばせめて桶狭間を最後まで、あるいは道三との心理戦にもう少し時間を割いてほしかったですかね。戦国時代で主役が信長なのに、合戦シーンもチャンバラもないという一風変わった作品でした。



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卑猥 hiwai 03:34
2005年製作
監督・田尻裕司
脚本・守屋文雄
出演・平沢里菜子、吉岡睦雄

本作は月刊シナリオにて公募された第二回ピンクシナリオ大賞入選作『ヒモのひろし』を映像化したものです。シナリオは未読なんですが、前半20分くらいまではかなり期待感の持てる導入なんですよね。田尻監督の演出も冴えていると思います。ピストン運動で地震を起こす男なんて初めて見ましたし、元ヒモの来訪に激怒して全裸で追い返す平沢さんもかなりスゴイ。

一方、重要なモチーフとしてコオロギ相撲という一種の賭け事がクローズアップされているのですが、それはいつしか蔑ろにされ、ほとんどラストではなかったことにされている展開にやや首を傾げざるをえません。さしてメタファーとして機能していたとも思えませんし、不可解なんですよね。

それにしても『かえるのうた』でも平沢さんは好演していらしゃいましたが、本作でもかなり発奮されています。コメディタッチのオブラートに包まれてはいるものの、ピンク映画とは言え、キャラ設定が西川史子先生顔負けのとんでもないおサセで、貞操観念の欠片も持ち合わせておらず、吉岡さん演じるヒモのひろしと共にまさに卑猥な怪物のよう。この壮絶なキャラクターを演じきった平沢、吉岡両人の力量に頼る部分が大きいのも否定し難いところでしょうか。

それから印象的なカラミが多いというのはピンク映画としての意義を高めているようにも思います。手持ちカメラに頼らず、きちんと構図が決まっているんですよね。画的に美しいシーンが多いんです。狭いアパートの一室、廃屋、海辺、墓場、至るところで繰り広げられるカラミのほとんどが日中というのも特徴的です。特にパッケージにもあるカラミ、これは繋がりながら女性が男性の膝の擦り傷を舐めているんですが、面白い演出だと思います。

こうした良い点が多々あるにも関わらずトータルのバランスが悪いのはやはりコオロギ相撲が未消化なまま、荒唐無稽なトンネルからの遭難が物語を昇華させずに逃げたようにも映るからではないでしょか。

非常に勿体ない感じのする一本でした。



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ホステル 18:11
評価:
Amazonおすすめ度:
ホステル
畳み掛けるような展開にしてほしかった。
グロさが足りないんじゃない?
監督・脚本 イーライ・ロス
出演 ジェイ・ヘルナンデス、デレク・リチャードソン

片言の日本語はお約束と言うかご愛嬌としても、スロバキア人が観たら怒りませんかね、これ。痛いも怖いも通り越してあまりの理不尽っぷりに苦笑&失笑を禁じえませんでした。しかしながら、この手の映画としてはよく出来ているほうなんじゃないでしょうか。長いと言われている前半も個人的には気になりませんでしたね。と言うか全体的なバランスを考えるとあの長さは必要だったじゃないかとも。尺も93分と潔く、いい感じです。

『CUBE』や『SAW』シリーズなんかと比較されがちなんでしょうが、あっちはちょっと小賢しいですからね。本作の場合、都市伝説的な安っぽい舞台装置がいい塩梅にジャンルとマッチしています。もうチェーンソーが登場しただけでちょっとニヤけますものね。あの自爆っぷりも郷愁を誘います。バナナの皮かよ!と。

至るところにオマージュらしき場面が散見されますが、日本人の視点から観ると片目を潰された日本人女性のヴィジュアルはお岩さんを想起させます。

チープさは否めないものの(リアル過ぎても困りますが)、残虐描写は手馴れた感じがしますし、四面楚歌的な状況からの脱出、復讐劇としては及第点でしょう。
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花井さちこの華麗な生涯 23:09

監督 女池充
脚本 中野貴雄
出演 黒田エミ

時間差で性的快感、あるいは味覚が押し寄せるという本作のアイデアは筒井康隆御大の短編にもありましたね。ニューヨーク映画祭での質疑応答の模様がDVDに収められていましたが、製作会社からは家庭教師モノという依頼だったそうです。それがどう間違ったのかブッシュ大統領を巻き込んでのドタバタZ級喜劇に仕上がってしまった。

『発狂する唇』や『血を吸う宇宙』のような確信犯的暴走であるにせよ、かなり危険な綱渡りをしているなぁ、というのが正直な感想です。で、何度も足を踏み外して万事休すかと思われる場面がいくつかあったものの、終盤15分くらいでギリギリ綱の半分以上を渡りきったんじゃないかとも思います。

とはいえ言いたいことは山ほどあって、その一つが事故の影響で天才となった花井さちこ(黒田エミ)を印象付けるエピソードで羅列、引用される固有名詞がニーチェだのダンテだの、チョムスキーだのという“些か”冴えないセンス。

この鼻持ちならないセンスは何かに似ていると考えていると、先の質疑応答で脚本家の方がウディ・アレンの本を丸々参考にしていたというエピソードを聞いてようやく合点がいくのでした。しかし穿った見方をすればアレンが得意とするインテリ・ニューヨーカーの会話劇(無論、アレン自身それを皮肉として扱っているのを踏まえた上で)なぞ性行為中の無意味な世迷言に過ぎないのだと言うさらに露骨な厭味と受け取れなくもありません。

また『ビタースイート』同様、セリフのほとんどが聞き取ることが困難で、何度も巻き戻し、再生を繰り返す羽目に。この問題はなんとかならないのでしょうか。ホント苦痛で仕方ありません。

良いと感じたシーンをいくつか。
自宅の階段で、ブリーフ一丁で舞い踊る大学教授。
逆光を背負い、洞窟に侵入する太った殺し屋と女工作員。
配達員の殺し方、及びその乱暴な遺体の扱い方。

毛色の違う『ビタースイート』と本作ですが、ピンク映画の不遇な環境でそれなりにどちらも作品として成立させてしまう手腕はさすがです。メイキング映像なんかを見ていると、自主映画の現場とそれほど大差がなかったりしますからね。立派なもんです。
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ボルベール <帰郷> 23:05
いやぁ安定してますねぇ。手堅い仕事です、アルモド姐さん。
ペネロペ・クルスは相変わらず驚異的に美しいんですが、時折すごく老けて見える瞬間があるんですよね。手の甲の皺が目立ってました。それでも彼女が画面に映っているだけで、十分鑑賞に堪えますけど。

一言で言うと男運の悪さに起因したド不幸スパイラルに翻弄される女たちの物語なんですが、少しずつ明かされていく昼ドラのようなドロドロ展開に少々げんなりしました。が、まあ許容範囲と言えなくもないでしょう。腑に落ちるかどうかはともかく、一応伏線も随所に張り巡らされていますし。

本作は2006年度カンヌ国際映画祭で脚本賞と主演女優賞を獲得しています。
確かに登場する女優さんたちが皆、魅力的なんですよね。個人的にはアグスティナ役を演じた、限りなく坊主頭に近いヘアスタイルとハスキーな声を持つブランカ・ポルティージョが印象に残りました。

劇中で登場人物が歌う映画はいくつもありますが、本作のそれは非常に効果的で、物語に必然性のある強度を備えています。名シーンと言ってもいいでしょう。

他にも葬式で扇子をパタパタさせながら際限なくくっちゃべる田舎のおばちゃんの描写にはクスリとさせられますし、幽霊やロシア女として扱われる母親(カルメン・マウラ)とソーレ(ロラ・ドゥエニャス)の共犯関係、ラムインダ(ペネロペ・クルス)と彼女と取り巻く太った娼婦をはじめとする近所の住人たち、皆それぞれ脛に傷を抱えているけれども、決して人生に絶望はしていない。

『オール・アバウト・マイ・マザー』以来、やや強調し過ぎのきらいはありますが、確かに女性たちの、母親のたくましさは胸を打つ感動があります。古今東西、普遍的なテーマでしょうしね。

しかし私は同じこってり系だと『バッド・エデュケーション』の方が面白く感じました。いずれにしろ、すっかり巨匠の肩書きが板についてきましたね、アルモド姐さん。応援しています。
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ビタースイート 23:00

女池充監督作品。
向夏さんと今は亡き林由実香さんが出演されています。

これは正直言って凡作ですね。
本編よりもむしろDVDの特典映像が楽しめました。
ポレポレ東中野での舞台挨拶やトークショーの様子が収録されているのですが、女池監督と脚本家の女性、そこに我らが荒井晴彦氏を交えたトーク、それとはまた別の日に行われた澤井信一郎監督のトークが印象的でした。

荒井氏の「女池の映画はカラミをなくしても成立してしまう。それはピンク映画としてどうなのか?」という問題提起は決して無視できるものではありませんし、澤井監督が抱いたラストシーンへの違和感とその改善策は多くの賛同を得るでしょう。私も膝を打ちました。
さすがに百戦錬磨のベテランたちの意見です。

それにしても録音が酷くないですか?これ。
大袈裟じゃなく7割以上何を喋っているのか聞き取れませんでした。
自然体の芝居も結構ですが、観客に伝わらないのは本末転倒じゃないでしょうか。
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ホワイトルーム 22:54
原作・重松清氏、脚本監修・荒井晴彦氏の『愛妻日記』シリーズ。
鑑賞済の記事はこちら。『煙が目にしみる』『愛妻日記』
本作の監督は『いたいふたり』を撮った斎藤久志さん。

若干の不満は残るものの、それを差し引いてもかなりの傑作ですね。
新築のモデルルームを購入した、とある(新婚?)夫婦の話なんですが、夫は小さな悩みを抱えている。それは何かと言うと妻がリコーダーを吹いてくれないというもの(お察しください)。おまけに妻の法螺貝も吹かせてはくれません。
結構どうでもいい話なんですが、当事者としては深刻でしょうね。

ある時、プライベートでも付き合いのある会社の後輩が一本のアダルトビデオを借りてくる。するとそこには先輩、つまり悩める夫の新居が映っています。と言うのも、家具付きのモデルルームをそのまま買い取っているのでソファから寝室のベッドまで、何から何までが瓜二つ、疑いようがないわけです。後輩は悩める夫に報告し、ビデオを又貸しします。

そのアダルトビデオの内容も本編でクローズアップされており、さながら劇中劇のよう。バクシーシ山下かカンパニー松尾を思わせるつくりだなぁとぼんやり観ていると、ホントにカンパニー松尾さんが撮影、出演(というかカラミ)をされていて吃驚仰天。

それはともかく、そのAVの内容をまずはご説明しましょう。
まず、出演希望の電話をかけてきた女性に会うため、松尾氏が公園に出向きます。女性はあからかじめ指示された通り、幼い頃の自身と彼女の母親が映った写真を持参している。と言うのも、事前の電話によるやりとりの中で、松尾氏は女性の心に何か引っ掛かるものを感じ、それはどうやら厳格な母親の存在であるらしいことを悟っているわけです。で、松尾氏と女性は夫婦が購入する前のモデルルームでAVの撮影を決行する。

肝心の夫婦に話を戻すと、ある夜、遂に夫は妻にリコーダー演奏を懇願し、妻も渋々それに応じるのですが、舞い上がってノリノリになってしまった夫に妻はブチ切れ、と言うより号泣して寝室を飛び出します。その夜以来、夫はいじけモードに突入。

数日後、酔った後輩をマンションに送り届けた悩める夫。後輩は酔った勢いで「うちの嫁はリコーダー演奏が上手いんですよぉ」などと軽く自慢。どころか「先輩は奥さんがしてくれなくてかわいそうなんだ。おいお前、してあげなさい」などと爆弾発言。悩める夫は妊娠中である後輩の奥さんに尋ねます。君はどうしてアレが平気なの、と。奥さんは答える。
「だって好きな人のだもん」
この答え、さらには屈託のない表情が完璧なんですね。物語は夫を中心に展開されていくんですが、どこか女性的な視点だなぁと思っていたら、やはり脚本は女性の方でした。

その夜、遅い帰宅をした夫がシャワーを浴びている隙に、妻は例のAVを発見し、あまつさえ再生して内容を確認します。で、風呂上がりの夫を問いつめる。険悪な雰囲気となるものの、開き直ってよく観てみろ、と夫。そこでようやく妻もAVの現場がまさに自分たちが今座っている場所であることに気づく。

夫はAVの内容をかいつまんで説明します。つまり厳格な母親の存在を引きずったまま(何の因果関係があるのか知りませんが)性に対してオープンになれずにいる女性が、松尾氏の荒治療によって魂の開放をされていくものなのだ、と。放心する妻。夫はハンディカムを廻してそんな妻を撮影する。厭がりながらも、妻はポツリポツリと告白します。何故そんなにもアレが嫌なのかを。

ここまでの展開自体は悪くないんですが、この一種のトラウマ告白がいかにもとってつけたような印象で、せっかくのクライマックスに少々水を差しているように思うのですが、どうでしょう。そんなに大仰な原因がなくても嫌がる女性だって一定以上いるでしょうから、別に必要なかったんじゃないかとも感じるんですよね。AVの内容と無理矢理シンクロさせたかったんでしょうが、この一点がなければほぼ言う事無しだったので残念です。

夫役を演じた俳優さんは冴えない感じを好演していますし、妻役のともさと衣さんもとびきり美人じゃない感じ(ごめんなさい)が素晴らしい。

それにしても、カンパニー松尾氏にしろバクシーシ山下氏にしろ平野勝之氏にしろ、ある種の突き抜けたAV監督というのはセックスという究極のアプローチで不特定多数の人間と対峙し、その中で純度の高い“人間の恥部”を暴き出すことに長けているわけですが、AVという低俗なジャンルであるが故に、逆説的に鋭利さを増し、それは時に凡百のフィクション、ドキュメンタリーを凌駕してしまうこともしばしば。

彼らの手段は決して健全ではありませんが、そうであるからこそ、より人間の本質に肉迫していると思いますね。かと言って仰々しく評価するのもどうかと思いますが。
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バッド・エデュケーション 22:46
評価:
Amazonおすすめ度:
アルモドバルの半自伝的作品
素晴らしかった
美しい。
“勝手にガエル・ガルシア・ベルナル祭”
第二夜は『ボルベール<帰郷>』の公開を控えているペドロ・アルモドバル監督の『バッド・エデュケーション』、2004年の作品ですね。主演は我等がガエル君とフェレ・マルティネスのお二人。

巷では、いわゆる腐女子と呼ばれる方々の間で“ボーイズ・ラブ”なる男性同士の性愛を扱ったジャンルが人気を集めているようですが、本作はそんな腐女子の方にこそ観てほしい、あるいはその筋では既に知られているのかもしれませんが、ともかく傑作です。

アルモドバル監督と言えば『バチ当たり修道院の最期』を観て変な人がいるもんだなぁと認識し、全然記憶に残っていない『神経衰弱ぎりぎりの女たち』や『アタメ 私をしばって!』『キカ』などを経て「ああ、2.30代のOLさんとかが好みそうな作品を撮る人なんだなぁ」と感じてからしばらく疎遠だったのですが、近年のご活躍は目覚ましいものがありますね。

昨日の『ドット・ジ・アイ』ほどではありませんが、本作にもちょっとした仕掛けが施されています。が、そこには新人監督とベテランの差が歴然と存在しますね。保守的と言えばそうかもしれませんが、地に足の着いた展開の運びは破綻がなく、安心して観ていられます。

エンリケがイグナシオの脚本(少年時代の忌々しい出来事がイグナシオ側から語られていく)を読み進めるかたちで、エンリケの知らなかった事実が補完され、またそれが観客側への丁寧な状況説明ともなっているのですが、別段、衝撃的な内容というわけでもないのに求心力があるんですね。

それは本能的な同性愛への嫌悪感の裏返しでもあるんですが、シリアスなのにどこかユーモラスで性的マイノリティー本人やその家族の苦痛もきちんと正面から描かれていることに、監督の真摯な態度が窺えるからだと思われます。この覚悟は橋口亮輔さんにも通ずるものがあるのですが、ラテン系なだけあってアルモドバル監督はより明け透けな感じがしますね。

監督が意図したものかどうかは知りませんが、プールの場面、エンリケが送る熱視線は爆笑ものです。ああまで人は股間を凝視できるものなんでしょうか。すごいセクハラです。はっきり言って本作ではガエル君よりマルティネス君の方が男の私から見ても美しかったですね。

反芻してみてもほとんど無駄と思えるシーンがないことに驚かされます。目にも鮮やかな色彩感覚も健在ですしね。宣伝文句の半自伝的作品という言葉を鵜呑みにするなら、ちょっと美化し過ぎじゃないのか、という気がしないでもありませんが、まあそれはご愛嬌ということで。
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