愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

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デス・プルーフ in グラインドハウス 16:25
2007年
監督/脚本:クエンティン・タランティーノ
出演: カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、シドニー・ターミア・ポワチエ、ゾーイ・ベル、マイケル・パークス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ヴァネッサ・フェルリト、ジョーダン・ラッド、トレイシー・トムズ

たしか中島らも氏のコピーだったと思いますが、「B級は永久だ」なんてのがかつてありました。謳い文句としては傑作ですけど、ことさら声を大にしてそう叫ぶ必要性ってあるんでしょうか。それほど混雑していなかった劇場内、エアコンの風が直撃する座席だと知り移動しようかどうか迷っていると、間もなく50代後半乃至60代前半とおぼしき年配のご夫婦が入場されました。その瞬間、直感的に「あ、マズイ」と思ったのです。

「THE END」のマークがスクリーンに映しだされると、その夫婦は場内の誰よりも早く席を立って退場されていきました。その背中は寂しそうで、お二人の頭上に大きな疑問符が浮かんでいるのを私は見逃さなかった。そう、予感は現実のものとなったのです。あの時、「駄目ですよ、こんなの観ちゃ。『ラッシュアワー3』か『TAXI4』にでも変更したほうがぼかぁいいと思うなぁ」そう助言していれば……。すべては後の祭り。タランティーノは罪な奴だ。私はこの場を借りてご夫婦を代弁し、タラちゃんにはっきりと苦言を呈したい。

まずこれはご主人の怒りだ!
「やい、誰もがエクスキューズを受け入れてくれると思ったら大間違いだぞ!そしてそれを馬鹿丁寧に最初に断る注意書きもみっともないぞ!←(これは配給会社に)」

それからこれが奥さんの分!
「ガールズトーク?アァハァン。おおいに結構ね。でもアンタ、基本的に下ネタオンリーってのは些か下品に過ぎるんじゃありませんこと?例えば『パルプ・フィクション』のおしゃべり、特にサミュエル・L・ジャクソンとトラボルタ、あるいはトラボルタとユマ・サーマンの会話が輝いていたのは背景に深刻な事態が転がっていたからこそで、こんなトークとアクションが完全に隔絶したものを一体どう楽しめばいいと?それこそ柳原可奈子の芸じゃないけど、電車に乗ってギャルの会話に耳をそばだてていたほうがよっぽど面白くってよ」

ふぅ……。じゃあ、気持ちを切り替えて私の率直な感想を述べたいと思います。まず、奥様がおっしゃっていたように、本作の大部分を占める他愛もない会話が総じて面白くないんですね。仮にこれが吹替えだったら、安っぽさが強調されてまた印象も違ったかもしれませんけど。はっきり言って前半30分から40分、正確に言うと最初の犯行が行われるまでは寝ていても構いません。ドッカーンって聞こえたら驚いて飛び起きましょう。

しかし終盤のカーアクション&スタント(トリックがないのだとしたら、かなり凄い。しかも減速するなり、降りるタイミングも結構あっただろうとか突っ込みつつ)はなかなかの見応えがあって、逆に追い詰められるカート・ラッセルの無様さも笑えます。エピローグのない、投げ槍で唐突な終わり方も潔くって嫌いじゃありません。が、『キル・ビル』といい本作といい、お遊びはこれまでにしていい加減タランティーノの“本気”をみせて欲しい、そう思うのは私だけでしょうか。ここまではお祭りとして割切るにしても、ホント『ジャッキー・ブラウン』で見直したんだけどなぁ。ロドリゲス監督の『プラネット・テラー』に期待しましょう。
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太陽 21:18
評価:
Amazonおすすめ度:
期待した映画
鎖骨に「ポテ」がいいよね
声が…
2006年
監督:アレクサンドル・ソクーロフ
脚本:ユーリー・アラボフ
出演:イッセー尾形、ロバート・ドーソン、桃井かおり、佐野史郎、つじしんめい、田村泰二郎、ゲオルギイ・ピツケラウリ、守田比呂也、西沢利明、六平直政

尋常ならざるこの退屈さにはただただ驚嘆するばかりですが、昭和天皇の人物像、実像に迫るということ“だけ”を目的としているのであれば、それなりに成功しているのではないでしょうか。が、一体それがなんだというのか。それこそヒトラーだって人間味はあったでしょうに。ただ、少なくともロシア人が描く日本人像としては、俳優陣の奮闘もあって違和感なく観てはいられます。ファンタジックな空爆シーンも白眉。

しかしそれらだけをもって本作を評価しろというのは、些か虫がよすぎるのではないでしょうか。終戦間近から直後あたりまでの壮絶な時期を描いているにも関わらず、それについて正面から対峙、言及されることはほとんどなく、お茶目な一面も持っていた異国の哀れな王様、そうした外国人にも与し易い“皇帝”のイメージがイッセー尾形氏の名人芸の助けを借りて提示される。ドラマティックな抑揚は“過剰”なまでに制限され、図らずもラストの桃井かおり演じる皇后の鋭い眼光ばかりが目に焼きつく。

現人神の解釈をめぐり「人間宣言」を経て肩の重荷を降ろすことで少しだけ救われたように描かれる本作の天皇もどき、いや、万世一系という世界的にも稀有な天皇制というシステムそのものが異国の目には理解の範疇を超えているのだろうと推察すべきなのでしょうか。やはりこのテーマはいずれ日本人自身の手で再構築されねばならない。辛うじてその際の一資料としての価値はあったかと。
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天然コケッコー 01:20
2007年
監督:山下敦弘
脚本:渡辺あや
出演:夏帆、岡田将生、柳英里沙、藤村聖子、森下翔梧、本間るい、宮澤砂耶、田代忠雄、二宮弘子、井原幹雄、斉藤暁、廣末哲万、大内まり、夏川結衣、佐藤浩市

『ぼくのなつやすみ』っていう牧歌的なゲームがありますでしょう。アレですアレ。
非常に健全でいい映画なんですよ。文科省のご推薦があってもいいくらいに。ああ性善説ってこのことなんだなって思いますね。家族揃って観るには文句ナシ。100人中90人くらいの方はほっこりした気分に浸って帰路につけるでしょう。でもね、残念ながら私はその90人の中に入れなかった一人で、「こんなの嘘っぱちだぁ!『トランスフォーマー』の方がまだリアルな気がしてくるぜぇぇい!!」と泣き叫びながら真夜中の歩道橋を全力疾走で駆け抜けたい。そして甘い缶コーヒーを買って馬鹿な犬に吠えられながら(罵倒気味に)、トボトボ家に帰りたい。そうでもしなければ、このあまりにも清く美しいワンダフル・ワールドに押し潰され、いたたまれない絶望的な気分なのです。むしろ今は『悪魔の沼』のキチガイオヤジにでも追い回されていたほうがましです。

原作は漫画だそうですけど私は見たことも聞いたこともありませんね。けどまあ、映画になるくらいだから人気があるんでしょう。脚本は先日『トップランナー』にもご出演されていた渡辺あやさん、お綺麗な方でしたね。さらに監督は山下敦弘氏ということで売れっ子揃いぶみという磐石の布陣。

ともあれ、本作は主演の夏帆さんを観る映画といっても過言ではありません。これ以上大人びても幼すぎても駄目だったろうと思わせる“多感な少女”を見事に演じています。子供たちは皆そつのない演技を披露していたのですが、彼女と転校生のボーイフレンド(岡田将生)以外だと最年少のさっちゃんがおいしい役柄で目立っており、非常に微笑ましかった。PFF出身の廣末哲万氏もキモイ郵便局員役で出演していたり。山下監督お得意のオフ・ビートなギャグは控えめですが、それがかえって氏の安定した演出ぶりを際立たせていたようにも思います。まだ若手とは思えない落ち着きが感じられますね。

しかし同じように少年少女たちを描かせるとやはり岩井俊二監督って上手かったんだなぁって再認識しますね。昔はどうにも苦手でしたけど。子供たちの残酷な一面もきちんと見据えてるとこなんかは「そうだよなぁ」って妙に納得させられます。

それから『FM89.3MHz』の時も言いましたが、本作もやたらとブラック・アウトが多用されるんですが、これ流行ってるんですかね?『ストレンジャー・ザン・パラダイス』じゃないんだから、ただでさえ長い尺なのに余計ダラダラした印象を与えるのはどうかと思いました。いっそ思い切って30分くらい削ってもよかったのでは?
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ディア・ウエンディ 00:01
評価:
Amazonおすすめ度:
若々しい光
トリアーオタクより
ポップで深刻な物語
2005年
監督:トマス・ヴィンターベア
脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:ジェイミー・ベル、ビル・プルマン、マイケル・アンガラノ、ダンソ・ゴードン、ノベラ・ネルソン、クリス・オーウェン、アリソン・ピル、マーク・ウェバー

ラース・フォン・トリアーが脚本を担当しているわけですが、お世辞にも出来がいいとは言えません。けれども、それを補って余りあるヴィンターベアの演出が冴えています。荒唐無稽なお話ですから、(だって100mくらいの距離にコーヒーを届けるために命賭けるんですもの)このくらい遊び心溢れる演出が深刻さと滑稽さを中和させて絶妙だったんでしょうね。

一言で言うと、レトロな拳銃に魅了され、それを信仰の対象とする“負け犬”青年たちの一風変わった物語です。そのことから無論、銃社会(=アメリカ)への警鐘云々という側面もあるのでしょうが、別の観方をしていった方がより合点のいく描写が多々あることに気づかされます。あるコミュニティーの外側で生きるマイノリティーたちが絶対的な武器を手にすることによって“自信”を得、饒舌になり、強くなったと錯覚する。すなわちこれ、核兵器の問題でしょう。主人公が綴る手紙の中で、それを使用したら世界が破滅するとまで言わせているんですから。

スティービーが頭に巻いていたターバン、兄弟が被っていた耳あて付きの帽子は成長著しいどこかの国を想起させますし、生き残った者の厳密な人種がなんであったのかも暗喩めいています。“裏切りの銃”を持つ保安官がセバスチャンを連れてディックの家を訪ねた際、露骨に肩の星条旗を見せていたのもそうですね。とまあ、深読みしてくださいと言わんばかりの寓話的なシナリオなんで、そこがあまり好きじゃないところ。

それでも尚気に入ったのは、最初に述べたようにヴィンターベアの演出が面白かったからに他ならず、いかにもセットめいた広場のつくりとダンディーズの正装は、西部劇がやりたかったのがありありと伝わってきますし、ラストの銃撃戦も真似したくなるサム・ペキンパーのそれとは対極に位置するかのような、一発一発を重んじた展開に感心することしきり。

地下の“神殿”でしか息をしなかった“彼ら”が「目覚めよ」の呪文と共に火を噴く瞬間は感動すら覚えます。しかしまあ、逆立ちしたって敵いませんよね、世界最大の核保有国アメリカ様には。折りしも今日(日付変わって昨日)は長崎の原爆記念日、考える燃料としてはなかなかの代物ではないでしょうか。欲を言えば、殺傷兵器としてよりも外交カード(=発言権)としての側面にもスポットを当ててほしかったところ。



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ドゥー・ユー・ライク・ヒッチコック? 01:28
評価:
Amazonおすすめ度:
おとなしめ
キャリアの中でもワースト5に入る駄作
火曜サスペンス劇場
2005年
監督:ダリオ・アルジェント
脚本:ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ
出演:エリオ・ジェルマーノ、キアラ・コンティ、エリザベッタ・ロケッティ、クリスティナ・ブロンド

「おめ、ヒッチコック好きけ?」とか訊かれてもなぁ……。
まあ、いくらアルジェントとは言え、テレビ映画だそうですからさほど期待はしていなかったものの、ここまでチープなサスペンスだとは。冒頭、少年時代のシーンは音楽の使い方が往年の恐怖映画じみていて面白かったのですが、それ以降はどうにも……。しかしまあ、ヒッチコック作品をモチーフに構成するという企画ありきなんでしょうから、それ相応に縛りがキツイのだろうという同情の余地はあるのかもしれません。でもなぁ、それも考えてみれば自縄自縛じゃないかと思ったり。

残虐描写もテレビだとこの程度が限界なんですかね。その割に女性の裸体は結構な頻度で登場するし、その線引きがどこにあるのかよく判りません。まあ、放送する時間帯も関係するんでしょうけど。

舞台装置と基本構成が『裏窓』で、交換殺人は『見知らぬ乗客』、さらに依頼殺人が『ダイヤルMを廻せ!』で、シャワー室で襲われるシーンは『サイコ』ですか。他にも見落としてるものがあるかもしれません。それはともかく、そもそもの企画があまり面白くないというのが致命的なんでしょう。ヒッチコックが偉大なのは誰でも知ってますから、不毛な企画という他ありません。不毛と言えば、ガス・ヴァン・サントの『サイコ』なんてのもありましたが、一体あれは何だったんでしょうか。漫画でトレースしたことが問題になった事件がありましたけど、先に「コピります!」って言っちまえば何でも有りなんですかね。

でも、ヒッチコックの作品って基本的に巻き込まれ型のストーリーが多いわけで(『間違えられた男』なんかが典型ですね)、自分から事件に首を突っ込んでいく『裏窓』は代表作かもしれませんけど、ヒッチコック的と言えるのかどうか……。アルジェント“らしさ”は身を潜めていますが、ラスト数秒の意味不明さは一矢報いた感がありますかね。なんだったろう、アレ。



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ドーン・オブ・ザ・デッド 19:30
評価:
Amazonおすすめ度:
予想に反して面白かった
良く出来てると思います。
動きの早いゾンビ
2004年
監督:ザック・スナイダー
脚本:ジェームズ・ガン
出演:サラ・ポーリー、ヴィング・レームズ、ジェイク・ウェバー、メキー・ファイファー

もうなんでもかんでも『〜〜オブ・ザ・デッド』とか言っときゃいいみたいに乱立する一大ジャンル、ゾンビ映画ですが、言うまでもなくその質は玉石混合。よほどのマニアでないかぎり、全て付き合うのはしんどいものです。ロメロゾンビ原理主義者の方が、本作におけるゾンビの全力疾走という点で不合格の烙印を押したがるのも判らないではありませんが、アクションに比重を置いたスプラッタムービーとして観ればなかなかのものだと思われます。

ただ、ちょっと登場人物が多かったですかね。新米警備員と犬好きギャルの恋がいつ育まれたのか、描写が少なすぎていまひとつ乗れなかったり、身内への想いという意味では噛まれた父親と娘のエピソードが妊婦と黒人男性のエピソードと若干かぶっていたり(赤ちゃんゾンビはすごく良かった)。また本家と違い、モール内にガンショップが無いことによって残弾数がじり貧となるアイデアは良しとしても、そこをもう少しクローズアップして焦燥感を煽って欲しかった。あるいは弾が尽きてモール内の商品を奇抜なアイデアで武器とするような描写とか。

要するにショッピングモール内に篭城した時点でいくらでも面白くなりそうな期待感が膨らむんですよね。この点がロメロさんの素晴らしいところです。私もゾンビに襲われたら絶対イオンに逃げ込んで3ヶ月くらいは生き延びたいと思います。本作だと人間同士の対立も途中から有耶無耶になり、ラストでは悪かった筈のヤツがえらいカッコイイ死に方しちゃったりしますし。いつ改心したんだと……。

逆に良かった点として挙げたいのはモールの向かい側に同様の条件で孤立する小さな銃砲店のあんちゃんを登場させたことでしょうか。彼と黒人警官の交流はなかなか味があって良かった。それに正攻法で金字塔と対峙しようとしたその姿勢は素直に評価すべきでしょう。好みの問題で言えばコメディ・テイストに仕上げた『ショーン・オブ・ザ・デッド』(特に前半)の方が好きですけど。



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トランスフォーマー 22:56
2007年
監督:マイケル・ベイ
脚本:ロベルト・オーチ、アレックス・カーツマン
出演:シア・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョシュ・デュアメル、タイリース・ギブソン

時間の都合で吹き替え版を観たのですが、映像に集中することが出来て逆によかったのかもしれません。オプティマスプライム(=コンボイ)の声は玄田哲章さんでしたし。ファミコンソフトで当時、『トランスフォーマー コンボイの謎』ってのがありましたが、激ムズだったことしか覚えてませんね。ついでに『ドラゴンボール シェンロンの謎』も結局クリアできなかったなぁ。宇宙みたいなところに行ってからが難しかった……。

さて、本作に話を戻すと、物語に乗れようが乗れまいが(だってマイケル・ベイですもの)、そんな瑣末なことは最初から誰も期待していません。それにしても流石に夏休みだけあってチビッコ諸君が多かったですが、みんな行儀良く2時間半も黙って座っていたので、なかなか感心しましたね。偉いえらい。

ともかく世界最高レベルのVFXは文句ナシの出来映えであり、とりわけスムーズな変身シーンは鼻から出血必至。ここで興奮出来ない方は絶対に観に行っては駄目です。何故ならそれだけの映画ですから。とは言え、主人公(シア・ラブーフ)を紹介する冒頭、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を彷彿させる駄目っぷりも紋切り型を一周して微笑ましい感がありますし、小ネタ(『アルマゲドン』ネタや日本人への配慮→本作の元ネタどうこうより『パール・ハーバー』の遺恨を払拭したいのかも)や正義ロボットたちのコミカルシーン、仮想敵国として頻繁に槍玉にあげられる北朝鮮とロシアの悲哀など、アクションシーン以外にもお楽しみはいくつかあります。

個人的に面白かったのは、どこで地球の言語を覚えたのかという問いに対し、オプティマスプライムが放った一言。
「インターネット」
絶対レポートとかもウィキペディアをコピペして提出するタイプですよ、コイツら。

また、興味深いのは製作総指揮にクレジットされているスピルバーグの存在。
2005年に『宇宙戦争』を発表しているわけですが、期せずして本作の設定もそれと似ています。無論、『宇宙戦争』はH・G・ウェルズの古典が原作でありますが、とは言え決して無視できるものではない。宇宙からの侵略者に対し、片や人類は無力な存在として描かれ、片や一人の青年が人類の命運を握る。9.11とイラク戦争以後、荒みに荒みきったアメリカ(あのスピルバーグでさえ)が、任期終了を目前に控えてレイムダック化したブッシュ政権に対し、ようやく光明を見出し始めた、あるいは俯いていた頭をもたげようとしているのではないか。

例えば本作ではカタールで壊滅させられた部隊の生き残りが本国へ帰還させられる、顔の見えない大統領はほとんど活躍の場がない、一方活躍するのはもっぱら民間人と軍人のみ。何も考えていない(少なくともそう見える)マイケル・ベイの口を借りてスピルバーグは『ミュンヘン』で躊躇した思いの丈をぶちまけたかったのではなかろうか、なぁんて言うのは勿論穿ち過ぎなんでしょうが、仮にそうだったら面白いのに、と感じた次第。

しかし続編はあるんでしょうか?
だとしたら是非、次は違う監督でお願いしたいものです。



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ドミノ 19:30
評価:
Amazonおすすめ度:
映像のすさまじさ!やったぜトニー その2
結構おもしろかった
『トゥルー・ロマンス』がお好きな向きに
2005年
監督:トニー・スコット
脚本:リチャード・ケリー
出演:キーラ・ナイトレイ、ミッキー・ローク、エドガー・ラミレス、クリストファー・ウォーケン、デルロイ・リンドー、ルーシー・リュー

世評はどうやらあまり芳しくないようで。その理由というのがどうやらと言いますか、当然と言いますか、スタイリッシュ(それも既視感のある)な映像の洪水がお気に召さない、鼻持ちならない、あるいは単純に観づらいといった意見が多数を占めています。まあ、真っ当なご意見でしょう。

CMディレクター出身者の悪癖ですよね。要所要所ならまだしも、こう一本調子じゃ肩も凝るし、それこそ延々と2時間もの間CM、あるいはプロモーションビデオでも鑑賞させられているようで気が滅入ってきます。が、そうは言っても素材(つい最近まで実在した女賞金稼ぎ)は大変興味深いものですし、変に凝らなければ脚本だってそう悪いものじゃない。なりより主演のキーラ・ナイトレイが『パイレーツ・オブ・カリビアン』なんかで観る彼女より、とってもキュート。って役柄的にキュートに見えちゃマズイんでしょうが……。

トニー・スコットももういいオジサンなんでしょうが、こうした作品を撮り続けているというのは、深作欣二監督が最期まで『バトル・ロワイアル』のような作品を撮っていたように、なんだか若々しくて微笑ましいとさえ感じます。但し、律儀に劇場で観てたら怒ってたと思いますけど。



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大地の子守歌 17:58
評価:
Amazonおすすめ度:
少女の直向きな生き様
1976年製作
監督・増村保造
脚本・白坂依志夫/増村保造
出演・原田美枝子、佐藤佑介、賀原夏子、田中絹代、岡田英次、梶芽衣子

舞台は昭和7年前後の四国、身寄りのないおぼこ娘が瀬戸内海に浮かぶ島の女郎屋へ売られていくという絵に描いたような不幸話。日に焼けた鼻っ柱の強いクソガキおりん(原田美枝子)が初潮を経て徐々に“オンナ”になっていく様が実に生々しい。それはまだ膨らみきらない乳房であったり、ふとした時の幼い表情であったり、それらが“オンナ”と共存する人生の中でただ一度きりの貴重な時期に撮影されたということが本作最大の魅力となっているのではないでしょうか。

増村作品に通底する“孤高のオンナ像”は健在ながら、それらを一手に引き受けてきた若尾文子さんとは違い、当時新人であった原田美枝子さんのそれはさらに不器用で、なればこそ痛々しく、そして愛くるしい。

おりんは言う。
「あたしは他人を敵か味方かはっきり分ける」
また、愚かにも「一人で好き勝手に、自由に生きてやる」
そうして周囲の善意も素直には受け入れられず、傷つき、殴られ、顔を腫らして「どうすればいいんじゃ!」と亡き祖母に、大地に問う。
そして恐るべきことに土を喰うわけです。

まさしく泥臭い生き様、にも関わらず瑞々しい。
やはり増村監督の手腕もさることながら、原田美枝子という稀有な新人の存在が本作を見事に屹立させていると思われます。



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ダイ・ハード4.0 23:05
評価:
Amazonおすすめ度:
さあ!映画館へ
アクション満載
秀逸のセリフも聞きのがしなく
監督・レン・ワイズマン
出演・ブルース・ウィリス、ジャスティン・ロング

いやぁ、腐ってもハリウッドですね。って腐ってるのか知りませんが。
こんな映画ハリウッドしか作れませんし、作ろうとも思いませんよ。困ったことに語るべきことが特にありません。脚本に直したら原稿用紙10枚くらいの内容を129分間アクションだけで引っ張っているわけですから、ただ口をあんぐり開けてスクリーンを凝視するのが正しい鑑賞スタイルでしょう。

しかしながら、例えばトレーラー対F35やトンネル内でのカーアクションなど、どれも最高レベルのアクションとVFXではあるのですが、予告で流れていた新作映画のインパクトが頭から離れず、今ひとつ素直に乗れなかったことを正直に告白します。
『トランスフォーマー』超観たい!コンボイっぽいのも登場してたし。

愚にもつかない崇高を装ったおバカ映画よりは他のメディアでは意味を成さないという意味に於いて、また見世物、興行でしかない映画の起源を考えるなら、非常に正しい作品と言えるのかもしれませんね。

それにしてもスターウォーズへの言及とカリスマデブハッカーの存在にあまり必然性を感じなかったのは気のせいでしょうか。



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