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評価:
Amazonおすすめ度:
どちらかと言えば。
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監督:三池崇史
脚本:武藤将吾
原作:高橋ヒロシ
出演:小栗旬、山田孝之、やべきょうすけ、高岡蒼甫、黒木メイサ、桐谷健太、上地雄輔、小柳友、渡辺大、深水元基、伊崎右典、伊崎央登、松重豊、塩見三省、遠藤憲一、岸谷五朗
原作である漫画を微塵も知らない者から言わせてもらえば、桐谷健太演じる男の病気や、大人の事情が見え隠れする黒木メイサのライブシーンなど、必然性を著しく欠いた描写に興を削がれることもしばしば。またそれらが渾然一体となって押し寄せるクライマックスの大乱闘シーンによってこちらもテンションの持っていき場を失い、右往左往する始末。非常に困ってしまう映画でありました。とは言え、手足の長い小栗旬の短ラン姿は決まっており、妙な貫禄を備えた山田孝之の表情も堂に入っていた。また、あの『デビルマン』の伊崎兄弟とスクリーンで再会できたことは奇跡的でもある。
不良漫画と言えば『ビー・バップ・ハイスク−ル』や『ろくでなしブルース』で時代が止まっている私などからすると、番長の座を巡っての覇権争い、ましてや派閥の取り込み云々といった過程や、父親を越えるためといった動機は不純な気がしてならない。不良などというのは今も昔も例えば目が合っただの、同じ匂いがするだの(服装等を含めた)、それこそ野生動物のような排他的な攻撃性を発揮しているだけに過ぎず、とってつけたような本作の動機や背景にはどうにも乗れなかった。例えば井筒映画でよく目にするケンカなど、そこにはなんの理由も利害関係もない。そうして一方的な奇襲が終われば再び復讐が始まるというような。まあ、そんなことどうでもいいのだけれど。
結構混雑していた劇場内、客層は原作ファンと思しき男性客と小栗ファンと思しき女性客とでほぼ二分されていた。原作ファンの反応はよく判らないが、小栗ファンなら満足いく出来なのではないだろうか。三池監督、一応の責任は果たされたようで。