|
評価:
|
2007年
監督:マイケル・ベイ
脚本:ロベルト・オーチ、アレックス・カーツマン
出演:シア・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョシュ・デュアメル、タイリース・ギブソン
時間の都合で吹き替え版を観たのですが、映像に集中することが出来て逆によかったのかもしれません。オプティマスプライム(=コンボイ)の声は玄田哲章さんでしたし。ファミコンソフトで当時、『トランスフォーマー コンボイの謎』ってのがありましたが、激ムズだったことしか覚えてませんね。ついでに『ドラゴンボール シェンロンの謎』も結局クリアできなかったなぁ。宇宙みたいなところに行ってからが難しかった……。
さて、本作に話を戻すと、物語に乗れようが乗れまいが(だってマイケル・ベイですもの)、そんな瑣末なことは最初から誰も期待していません。それにしても流石に夏休みだけあってチビッコ諸君が多かったですが、みんな行儀良く2時間半も黙って座っていたので、なかなか感心しましたね。偉いえらい。
ともかく世界最高レベルのVFXは文句ナシの出来映えであり、とりわけスムーズな変身シーンは鼻から出血必至。ここで興奮出来ない方は絶対に観に行っては駄目です。何故ならそれだけの映画ですから。とは言え、主人公(シア・ラブーフ)を紹介する冒頭、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を彷彿させる駄目っぷりも紋切り型を一周して微笑ましい感がありますし、小ネタ(『アルマゲドン』ネタや日本人への配慮→本作の元ネタどうこうより『パール・ハーバー』の遺恨を払拭したいのかも)や正義ロボットたちのコミカルシーン、仮想敵国として頻繁に槍玉にあげられる北朝鮮とロシアの悲哀など、アクションシーン以外にもお楽しみはいくつかあります。
個人的に面白かったのは、どこで地球の言語を覚えたのかという問いに対し、オプティマスプライムが放った一言。
「インターネット」
絶対レポートとかもウィキペディアをコピペして提出するタイプですよ、コイツら。
また、興味深いのは製作総指揮にクレジットされているスピルバーグの存在。
2005年に『宇宙戦争』を発表しているわけですが、期せずして本作の設定もそれと似ています。無論、『宇宙戦争』はH・G・ウェルズの古典が原作でありますが、とは言え決して無視できるものではない。宇宙からの侵略者に対し、片や人類は無力な存在として描かれ、片や一人の青年が人類の命運を握る。9.11とイラク戦争以後、荒みに荒みきったアメリカ(あのスピルバーグでさえ)が、任期終了を目前に控えてレイムダック化したブッシュ政権に対し、ようやく光明を見出し始めた、あるいは俯いていた頭をもたげようとしているのではないか。
例えば本作ではカタールで壊滅させられた部隊の生き残りが本国へ帰還させられる、顔の見えない大統領はほとんど活躍の場がない、一方活躍するのはもっぱら民間人と軍人のみ。何も考えていない(少なくともそう見える)マイケル・ベイの口を借りてスピルバーグは『ミュンヘン』で躊躇した思いの丈をぶちまけたかったのではなかろうか、なぁんて言うのは勿論穿ち過ぎなんでしょうが、仮にそうだったら面白いのに、と感じた次第。
しかし続編はあるんでしょうか?
だとしたら是非、次は違う監督でお願いしたいものです。