1976年製作
監督・増村保造
脚本・白坂依志夫/増村保造
出演・原田美枝子、佐藤佑介、賀原夏子、田中絹代、岡田英次、梶芽衣子
舞台は昭和7年前後の四国、身寄りのないおぼこ娘が瀬戸内海に浮かぶ島の女郎屋へ売られていくという絵に描いたような不幸話。日に焼けた鼻っ柱の強いクソガキおりん(原田美枝子)が初潮を経て徐々に“オンナ”になっていく様が実に生々しい。それはまだ膨らみきらない乳房であったり、ふとした時の幼い表情であったり、それらが“オンナ”と共存する人生の中でただ一度きりの貴重な時期に撮影されたということが本作最大の魅力となっているのではないでしょうか。
増村作品に通底する“孤高のオンナ像”は健在ながら、それらを一手に引き受けてきた若尾文子さんとは違い、当時新人であった原田美枝子さんのそれはさらに不器用で、なればこそ痛々しく、そして愛くるしい。
おりんは言う。
「あたしは他人を敵か味方かはっきり分ける」
また、愚かにも「一人で好き勝手に、自由に生きてやる」
そうして周囲の善意も素直には受け入れられず、傷つき、殴られ、顔を腫らして「どうすればいいんじゃ!」と亡き祖母に、大地に問う。
そして恐るべきことに土を喰うわけです。
まさしく泥臭い生き様、にも関わらず瑞々しい。
やはり増村監督の手腕もさることながら、原田美枝子という稀有な新人の存在が本作を見事に屹立させていると思われます。