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評価:
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2005年製作
監督・ウェス・アンダーソン
脚本・ウェス・アンダーソン 、ノア・バームバック
出演・ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソン、ケイト・ブランシェット
おそらく全く意識していないと思いますが、船内の断面舞台での段取り芝居なんかを観ていると益々グリーウェイを想起させますね。また、「んなわきゃねぇだろ!」と内心感じながらも、どうしてあんなに銃撃戦シーンが素敵なのでしょうか。
本作はアメリカのみならず、全世界を見渡しても異彩を放っていることに疑いの余地はありません。特にパッケージにもある潜水艦で深海を進むシーンの異様さがそれを端的に証明しています。意図的なB級テイストは高度なストップモーション・アニメの技術等に支えられ、本作のユニークさとして見事に昇華されている。
どいつもこいつも皆一様にすっとぼけたキャラクターながら、私が苦手とする三木聡氏のような匙加減知らずには陥っておらず、良い塩梅に落ち着いています。物語の骨子だけを抽出してみると、前作『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』との共通点もいくつか散見されます。不甲斐ない父親(ビル・マーレイ)、息子(オーウェン・ウィルソン)との確執、妻(アンジェリカ・ヒューストン)との関係、妻の元夫(ジェフ・ゴールドブラム)やウィレム・デフォーをはじめとする乗組員たちもある意味家族と言えなくもない。すなわち家族の物語であることは明白なわけです。
しかしながら、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』がニューヨークのとある街角が舞台であったのに対し、本作は海洋探検家が主人公ということもあって大海原が舞台となっています。ですから物語もそれ相応に膨らみ、エンタテインメントとしての幅を有している。船の下腹部先端にある無意味な小スペースなんてジョン・カーペンターの『ダークスター』を思い出しました。
二度、三度の鑑賞に堪えうるという意味でもまたグリーナウェイを感じさせます。しかし定価¥1350ですか、手元に置いておいても損のない一本だと思いますよ。