愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

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ゾディアック 22:53
自分の意志にも関わらず、「はあ、デヴィッド・フィンチャーかぁ」と溜め息まじりに劇場へ足を運んだのですが、なかなかどうして、これは結構いい拾い物をしたと満足することが出来ました。しかし157分というのは長過ぎですね。終盤20分は尿意との格闘で集中しきれませんでした。

1960年代後半、カリフォルニア州サンフランシスコで実際に起きた連続殺人事件を基に本作は描かれています。犯人は自ら“ゾディアック”と名乗り、新聞社や警察に暗号文や挑発的な手紙を送りつけ、あまつさえ電話による声のみとは言え、テレビ出演まで果たす。いわゆる劇場型犯罪のパイオニアですね。

本作では事件に翻弄された男たち、特に新聞社に勤務するイラストレーターであり原作本の著者でもあるロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)とデイヴィッド・トスキ捜査官(マーク・ラファロ)に重点が置かれているのですが、フィンチャー監督は随分難しいことに挑戦しています。確かに長過ぎなんですが、それでもよくここまでまとめたものだと感心しますね。色気を出して時間軸をいじったりせず、時系列順にエピソードを配置していったのも好感が持てますし、事件を知らない人が観ても理解しやすい構造となっている。

一応、事実を過不足なく描くことに専念していると思われるのですが、下手をすればただの再現ビデオになりかねないにも関わらず、“映画”としてかなり良い線をいっていると感じます。犯行の瞬間もほとんど前半に集中しているのに、一定の緊張感が最後まで失われないのはお見事ですね。

個人的にはグレイスミスが映画館に勤務していた老人を訪ねるくだりが秀逸だと感じました。事実関係を知らないのでなんとも言えませんが、あの人物は結局なんだったのでしょうか?限りなく黒に近い灰色、あるいは共犯者ぐらいの怪しさだったのに結果的には放置ですからね。無理矢理サスペンスタッチに仕立て上げたのかもしれませんが、ゾクゾクする素晴らしいシーンです。

本作はデジタルカメラで撮影されたそうですが、何も知らずに観るとほとんどその事実に気づきません。黒沢清監督の『LOFT』もビデオ撮影だったそうで、プロレベルの技術革新は既に相当なレベルに達していますね。どれだけコストダウン出来るのかは知りませんが、これだけのクオリティーだとフィルムの存在意義が問われる日もそう遠くないのかも。

本編の中でドン・シーゲル監督の『ダーティー・ハリー』がちらりと登場するのですが、『ダーティー・ハリー』の殺人鬼“スコルピオ”のモデルが“ゾディアック”であることを考えると、本作とのねじれた関係性がまた興味深い。

フィンチャー監督はこれまでのような小手先の技巧に走らず、事実を丹念に、忠実に描くことに専念した結果が功を奏し、“映画”としか言いようのないものを作り上げることに今回は成功しているのでないでしょうか。

ちなみに、公式HPでは翻訳家であり映画評論家であり猟奇殺人事件研究家でもある柳下毅一郎さんがゾディアックについて解説しておられるので、興味のある方はこちらからどうぞ。

追記

そう言えば劇場の予告編で『西遊記』と『HERO』が流れていたんですが、ホントにテレビ局の傍若無人な振る舞いはいい加減にしてくれませんかねぇ。百歩譲って『西遊記』はテレビドラマのまるでコントのようなチープさ(20分くらいしか観た事ありませんけど)に辟易したので、バジェットを拡大する意義が少しはあるのかもしれませんが、『HERO』に至ってはテレビの2時間スペシャルとかで十分でしょうに。私が最近よく利用するシネコンは10スクリーンあるのですが、こんな作品や『ラストラブ』だとか『眉山』『俺死に』とかに占拠されて、さすがに『ふぞろいな秘密』(怖いもの見たさで興味津々ですけど)はやってませんが、本当に観たい、公開が待ち遠しい映画なんてひと月に一本あるかないかというのが現状なんです。あくまで私が利用するシネコン内の話ですよ。

そうすると愛知県在住の私の場合、わざわざ名古屋市内まで足を運ばなければなりませんから、往復の電車賃だけで約700円、さらに地下鉄の往復で約300円、映画代が1800円ですから、それだけで3000円近くの出費です。しかも映画の出来不出来なんて観終わってみなければ実際のところ判りませんから、まさしくギャンブルです。ハズレだったら目もあてられませんよ。3000円もあったら結構優雅なディナーが堪能できますものね。一昔前ならスーパービンゴでも打ったほうがましです。

なんの話か判らなくなってきましたが、邦画の好調と言ったって所詮はこの程度の質と言いますか、暗黒時代の体質はほとんど改善されていない事実に愕然としてしまい、それに拍車をかけているテレビ局のなりふり構わぬ商人ぶりを苦々しく思っているという愚痴でした。

しかしYoshi様原作の『ラストラブ』って一体どの層に向けて作られているんですかねぇ。CMが絶賛オンエア中ですが、港の倉庫でサックスを吹く田村正和さんという画の時代錯誤っぷりに感涙しました。秋元康さんあたりが絡んでいても不自然でない寒々しい雰囲気、悪くありません。こういった素晴らしい映画がもっともっと量産されれば、日本の常任理事国入りも間近でしょうね。
| 映画 サ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
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