愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

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プレステージ 22:40
いやぁ酷い……もう一刻も早く忘れたい……。
監督は『メメント』や『バットマン ビギンズ』のクリストファー・ノーラン。主要キャストはヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールのお二人です。

この御時世、本作の種明かしで驚嘆できる人がいたとすれば、よほど純真な心の持ち主であることに疑いの余地はありません。原作はクリストファー・プリーストの『奇術師』という小説だそうですが、仮に本作がミステリだと言うならアンフェアと言う他ない。

百歩譲ってアンフェアには目を瞑りましょう。常日頃から人を欺いているという中国人奇術師の伏線があるにはあるのですが、それにしたって今時ボーデンが○○でした、はないんじゃないでしょうか。他方、アンジャー側のトリックなんて完全にSFですからね。もうなんだって有りの世界です。密室殺人の犯人は宇宙人でした、ぐらいの幼稚さですよ。子供騙しにも程がある。完成度と遊び心では綾辻行人氏の『どんどん橋、落ちた』の足元にも及びません。

そもそもマジシャンという特異な職業でぼかされていますけど、これがラーメン戦争だったらどうでしょうか?互いに門外不出のスープのレシピを盗もうと躍起になるのはいいですが、指が飛ぶわ足が不自由になるわ、しまいには恋人をスパイで送り込むわ……。むしろラーメン戦争でこの展開なら観てみたい気もしますけどね。

『バットマン ビギンズ』の陰鬱な描写は作品世界とマッチしていて悪くないと私は感じたのですが……。本作でも『メメント』のように時間軸が交差しているのですが、それらが全く効果的でなく、またその必然性も感じられない。おそらくきちんと脚本が煮詰められていないからだと思いますね。

こんな箸にも棒にもかからない物語でさえ、一定以上の映像クオリティーが保証されているのはハリウッドの面目躍如と言えるでしょうか。ファーストカットはシルクハットの山でしたが、まさかあんなどうしようもない展開が待っているとは……。

一番驚いたのは「デビッド・ボウイによく似たおっさんだなぁ」と思っていたら、エンドクレジットで本人だと知った時ぐらいですかね。

ミステリ志向の強いクリストファー・ノーラン監督は、日本の新本格ミステリ作家、例えば先述した綾辻氏をはじめ島田荘司氏や有栖川有栖氏、山口雅也氏あたりの存在を知ったらどう思うのでしょうか?私なら間違いなく穴があったら入りたいと思うでしょうね。

マジックに必要なのは確認、展開、偉業=プレステージの3大要素だそうですが、劇場内の寒々しい空気はまさしく“偉業”でありました。

追記
脱力した観賞後、間を置いて調べてみるとデビッド・ボウイが演じたニコラ・テスラというのは実在の人物だそうで。エジソンの陰に隠れた有能な発明家だったんですね。で、そのニコラはオカルティックな発言も多く、色眼鏡で見られがちな人であった、と。キテレツ君のご先祖様のような人でしょうか。

原作のクリストファー・プリーストも本来SF作家であり、ミステリ小説のようなロジカルさではなく、アイデアの奇抜さを楽しむべきものであって、私の拒絶反応はお門違いと言うか大人げない態度のかもしれませんね。が、それを知ったからといって本作の評価を覆す気になれないのは、出し惜しみする順番を誤っているからだと思います。

ここからは完全ネタバレしていくのでご注意ください。
冒頭でアンジャーの死がボーデンの裁判という手法で間接的に提示され、終盤では死体を確認したにも関わらずアンジャーが生きていることが示される。それはテスラの発明品によってアンジャーは自身のクローンを生成することが可能になったからであり、それが物語の後半に明かされる。本来この事実は冒頭にもってくるべきものではないでしょうか。時間軸の交差に疑問を持ったのはこの為です。

何故、死んだ筈のアンジャーが生きているのか。その謎を追うかたちで物語は進んでいく。テスラについて予備知識があり、勘の鋭い人ならファーストカットのシルクハットの山は良いヒントとなるでしょうし、非常にフェアな描き方だと感じます。が、まるで『ユージュアル・サスペクツ』のカイザー・ソゼのように最後まで姿を現さない富豪の正体、それをひた隠しにしたインパクトはあまりにも小さく、物語の陳腐さに拍車をかけてしまっている。

こればっかりはどう贔屓目に見ても擁護できるものではありません。無論、ボーデン側のトリックについてさえも。劇中のマジックの種がチープなものであるからといって、物語そのものの仕掛けがチープであっても許されるという道理はないと思うのです。
| 映画 ハ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
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