愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

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監督・ばんざい 22:29
否応にも比較される宿命を背負った『監督・ばんざい!』と『大日本人』ですが、まるで申し合わせたかのように方や80年代前半、方や90年代前半の“お笑い”を日本に流布した宣教師たちによる有り難迷惑な踏み絵と化しています。

例えるなら、痩せ細ったとは言え、昔とった杵柄で腕力に自信のある祖父と腕相撲をしてみると、その5歳児並の腕力に哀しくなり、はらはらと頬を伝う孫の涙を見て祖父が一言「あれっ?そんなに痛かったか?」と逆に心配されてしまった時のようなセンチメンタルな気分と似ていなくもない。
「イタい……、イタいよ、おじいちゃん……」
「ごめん、ごめん。じゃあ今度は左手でやってみるか?」

ジダンの頭突き、亀田選手、マトリックス、この時期外れなネタのセレクト具合が端的に全てを物語っていると思われます。『世界まる見え!テレビ特捜部』でビート氏が毎度扮装をして現れるとき、ほとんどそれは誰も見なかったことにしてくれている周囲の配慮に、ビート氏はもっと感謝(もしくは激怒)すべきではないでしょうか。

アカデミックに邦画界の現状が解読されていくわけでもなく、斬新なロジックが提示されているわけでもなく、興行的成功を横目で見てフフンと鼻で笑う余裕も感じられない。

北野監督が非難する井筒監督の方が(ここでは『パッチギ!LOVE&PEACE』を批判しましたけど)、よほど映画を作る態度としては大人ですし、ハリウッドで定期的に生産される『最終絶叫計画』のようなパロディ・シリーズの方がまだ可愛げがあります。モンティ・パイソン、ましてジョン・ランディス監督の『ケンタッキー・フライド・ムービー』と比肩するのも愚かしい。

ところで、よくテレビ番組は無料、映画は有料、だからつまらない映画を観ると腹立たしいなんて論調が散見されますが、テレビ番組だって決して無料じゃありませんよ。例えば新発売の化粧品のCMが番組スポンサーにつけば、その商品にCM代金が上乗せされているんですから。テレビCMで流れている商品は例外なく全てそうです。その商品を買ったお金が間接的にテレビ局に流れ、出演者のギャラになっていくわけです。

なんの話かと言うと、ここまでテレビタレントさんを増長させてしまったのは我々一般大衆の側にも責任があるということです。まあ、こんなところで声を大にしなくてもこの映画に人は入らないでしょうが、一種の議決権であるお金をむざむざドブに捨てる必要もないので注意を呼びかけたいと思いました。

しかし皮肉にも内容が空虚なので北野監督の卓越した“映画術”が浮き彫りになるというパラドックスが起きているんですよね。さすがに達人です。例えば美術館内での描写、例えば空手道場内での描写等々……。もうこうした“俺が俺がタイプ”の監督さんは無理矢理にでも原作を与えてその上で自由にやれ、と首に縄を巻くのがプロデューサーの仕事でしょう。で、それがよく出来たら30分ぐらいの短編を好き放題やらせてあげればいい。黒沢清監督然り、押井守監督然り。

奇を衒い過ぎて映画未満のコントであったのが『大日本人』なら、『監督・ばんざい!』はコント未満の映画でしかありませんでした。しかし強制的に二者択一を迫られたなら、私は迷わず『監督・ばんざい!』を選ぶでしょう。断っておきますが、『大日本人』では数カ所で笑いましたが、本作では既視感満載のギャグにクスリとも出来ず、むしろ欠伸を連発していましたし、『監督・ばんざい!』を二度と観ることはないでしょうが、『大日本人』はもう一回DVDで観直してもいいかな、とすら思っています。
では何故か?
それは泣けたから“いい映画”ではないのと同様の意味に於いて。
『素晴らしき休日』

そう言えば昨日の記事で触れるのを忘れていたので補足程度に。
本作は皆さんご存知のようにカンヌ国際映画祭60周年を記念して、世界各国35人の著名な映画監督が参加したという企画の一本です。
日本から唯一選出されたのが北野武監督でありました。

梗概
本作の舞台は見渡す限りの田園風景にぽつねんと佇む古びた映画館。そこへ自転車をこぎこぎ、一人の農夫(モロ師岡)がやって来ます。「農業一枚」農夫が改札にそう告げると、切符を渡してくれます。狭苦しい閑散とした劇場内には柱に繋がれた犬が一匹。農夫は煙草をくゆらせながら、上映開始を待ちます。映写技師(ビートたけし)のアナウンスがあり『キッズ・リターン』が上映される。ところが映写はたちまちストップ、どうやらトラブルの様子。不安気に映写室を振り返る農夫。上映は再開されますが、摩耗したフィルムに問題があるのか、はたまた映写機自体が故障しているのか、上映はいちいち中断されます。しかし農夫も慣れっこなのか、とりたてて騒ぎ立てることもなく、煙草を吸い、パンをかじり、それを犬にやったりしてやり過ごす。無事、映画はラストシーンを迎えるも、スタッフロールの最中にまたもトラブル。フィルムが焼け、映写機から発火してしまいました。とにもかくにも映画を見終えた農夫は劇場を後にしますが、乗ってきた筈の自転車が忽然と姿を消している。農夫は困った顔をしながら、来た道を正しく戻っていくのでした。

こんな感じですかね。3分間という制約があり、尚かつ“映画館”というテーマも決められたものですから、さぞや難しいお題だったでしょうね。

現在映画館で使われているほとんどのフィルムは昔と材質が違いますから、ああして発火するということもなくなったみたいです。喫煙に関しては一般的な劇場ではあり得ない光景ですが、信じられないことに成人映画館では今でも日常的な光景なんですよね。
さすがに犬を飼っているところは知りませんけれど。
北野監督の実体験なんでしょうか?どなたかご存知ですか?

『監督・ばんざい!』の中ではノスタルジーを有り難がる風潮に冷や水を浴びせていますが、本作では北野流のノスタルジーが“あるあるネタ”にも似た調子で描かれています。

個人的には『監督・ばんざい!』よりも本作の方が好みですね。
北野監督は基本的に上品な方なので、こうして照れ臭そうに作られた映画がやはり美しい。ギャグにしたって本作のほうが数段上だと思いますよ。元祖ハニカミ王子ですね。
微笑ましい良作でした。

『監督・ばんざい!』と本作の関係はへんちくりんなお菓子とそのオマケのようですが、オマケ目的で劇場に足を運ぶのも悪くないかもしれません。
ところで、私はビックリマンシール世代なんですが、あのピーナッツ入りチョコウエハースを捨てていた人の気が知れませんね。
あんなに美味しいのに。
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
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