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評価:
Amazonおすすめ度:
家族愛がテーマ?
元アクション俳優が撮った完璧なアクション映画
で、なにを描きたかった?
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監督:メル・ギブソン
脚本:メル・ギブソン、ファルハド・サフィニア
出演:ルディ・ヤングブラッド、ダリア・エルナンデス、ジョナサン・ブリュワー、モリス・バードイエローヘッド、ラウル・トゥルヒロ、ジェラルド・タラセナ、ロドルフォ・パラシオス
もう『悪魔のいけにえ』くらいなら笑って見ていられるんですが、これは怖い。超怖い。人間の根源的な恐怖心(本作はそれを克服する物語でもあるのですが)に訴えかけてくると言いますか、人権のジの字もない社会の恐ろしさ、理屈の通用しない世界、そういったものが物語後半、怒涛のように押し寄せ、我々観客の精神を疲弊させます。
ところで、そんな物語の構造は至ってシンプル。しかしシンプルであるが故に、例えば父親を殺された本作の主人公ジャガー・パウと、彼に息子を殺された傭兵部隊のボスとの対決(またその決着のつけ方も伏線が活かされておりお見事)など、どこか物語は神話性、あるいは寓話性を帯びています。このことも含めてメル・ギブソン監督の前作がキリストの受難を描いた『パッション』であったことを鑑みれば納得というもの。
そうした物語の根底に流れる深刻なテーマがあるにはあるのですが、そんな事を忘れさせてしまうほど、緊張感に手に汗握るアクション映画としての出来が素晴らしい。こんなに主人公を応援したのはいつ以来でしょうか。また彼がいい男というか、いい顔するんですよね。的確な描写、且つ必要最小限の説明、とても第2作目とは思えない良い仕事をされています。メル・ギブソン監督の今後の活躍に期待大。