愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

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イカとクジラ 16:40
評価:
Amazonおすすめ度:
傷ついたカスガイ
苦笑ばかりさせられた
2005年
監督/脚本:ノア・ボームバック
出演:ジェフ・ダニエルズ、ローラ・リニー、ジェシー・アイゼンバーグ、オーウェン・クライン、ウィリアム・ボールドウィン、アンナ・パキン、ヘイリー・ファイファー

たった80分程度の尺で一家族(4人)それぞれの心理(それもかなりリアルな手触り)をこれほどまで手際よく描かれていることにまず驚嘆。崩壊していく家族に対する“救い”らしきものが最後まで提示されないにも関わらず、後味がそれほど悪くないことにもう降参。監督は『ライフ・アクアティック』の脚本を担当したノア・ボームバック、製作にはそれを監督したウェス・アンダーソンも参加しており、このホットラインは末恐ろしいものを感じさせます。

自伝的要素がある、との触れ込みですが、そのこと自体はあまり重要ではありません。むしろ客観視しながらこれほどまで自嘲的に、あるいは分析的に、かつ興味深いドラマとして成立させてしまう手腕にただただ脱帽。そしてシリアスでありながら決してユーモアを忘れないその姿勢も素晴らしい。例えば長男が父親に彼女の容姿をどう思うか訊ねると、父親は「カワイイと思うよ。俺の好みじゃないけどね」などと言ったりするような。

離婚はともかく、たしかに本作の親子関係そのものはちょっと物珍しいかもしれない。子供に付き合っている男の話をしたりする母親や、息子に「若いうちは(女の子と)手広く遊べ」などと焚き付ける父親は少ないでしょう。けれどもここで描かれる登場人物に既視感を抱き、時に嫌悪し、そして愛しく感じない人も少ないのではないだろうか。それほどまでにこの家族の人物像は幅広く、しかし鋭く心に突き刺さる。

ディケンズやカフカについての評価、解釈や、息子の部屋にジャン・ユスターシュの『ママと娼婦』のポスターを貼ったり、あるいは息子とその彼女と『ブルー・ベルベット』を観に行ったりするなど、あきらかな趣味の偏りを感じさせる父親だが、その芸術一般への理解はそれほど間違っていないにも関わらず信奉者が息子一人だけというのがまた泣かせるし、「まあ、実際ウザイよな」と納得してしまう。

撮影スタイルはほぼ手持ちカメラというラフなものでありながら、例えばダルデンヌ兄弟が撮る精進料理のような質素感がないのは、やはり徹底した演出の介在を悟らせてくれるからであり、これこそが低予算映画の志向すべき正しい道だと信じたい。ただ、象徴的ではあるんだけど、『イカとクジラ』っていうタイトルはどうかと思いますね。商品として。
| 映画 ア行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
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