愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

| CALENDAR | RECOMMEND | ENTRY | COMMENT | TRACKBACK | CATEGORY | ARCHIVE | LINK | PROFILE | OTHERS |
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | - | posted by スポンサードリンク -
クローズZERO 00:18
評価:
Amazonおすすめ度:
どちらかと言えば。
監督:三池崇史
脚本:武藤将吾
原作:高橋ヒロシ
出演:小栗旬、山田孝之、やべきょうすけ、高岡蒼甫、黒木メイサ、桐谷健太、上地雄輔、小柳友、渡辺大、深水元基、伊崎右典、伊崎央登、松重豊、塩見三省、遠藤憲一、岸谷五朗

原作である漫画を微塵も知らない者から言わせてもらえば、桐谷健太演じる男の病気や、大人の事情が見え隠れする黒木メイサのライブシーンなど、必然性を著しく欠いた描写に興を削がれることもしばしば。またそれらが渾然一体となって押し寄せるクライマックスの大乱闘シーンによってこちらもテンションの持っていき場を失い、右往左往する始末。非常に困ってしまう映画でありました。とは言え、手足の長い小栗旬の短ラン姿は決まっており、妙な貫禄を備えた山田孝之の表情も堂に入っていた。また、あの『デビルマン』の伊崎兄弟とスクリーンで再会できたことは奇跡的でもある。

不良漫画と言えば『ビー・バップ・ハイスク−ル』や『ろくでなしブルース』で時代が止まっている私などからすると、番長の座を巡っての覇権争い、ましてや派閥の取り込み云々といった過程や、父親を越えるためといった動機は不純な気がしてならない。不良などというのは今も昔も例えば目が合っただの、同じ匂いがするだの(服装等を含めた)、それこそ野生動物のような排他的な攻撃性を発揮しているだけに過ぎず、とってつけたような本作の動機や背景にはどうにも乗れなかった。例えば井筒映画でよく目にするケンカなど、そこにはなんの理由も利害関係もない。そうして一方的な奇襲が終われば再び復讐が始まるというような。まあ、そんなことどうでもいいのだけれど。

結構混雑していた劇場内、客層は原作ファンと思しき男性客と小栗ファンと思しき女性客とでほぼ二分されていた。原作ファンの反応はよく判らないが、小栗ファンなら満足いく出来なのではないだろうか。三池監督、一応の責任は果たされたようで。
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
クローズド・ノート 23:50
2007年
監督:行定勲
脚本:吉田智子、伊藤ちひろ、行定勲
出演:沢尻エリカ、伊勢谷友介、竹内結子、永作博美、板谷由夏、田中哲司、サエコ、中村嘉葎雄

基本的にスタッフやキャストに敬意を払う意味でも、エンドロールが終わるまでは席を立たないよう心掛けてはいるのですが、久々にとっとと帰らせて頂きました。おそらく今年初めてじゃないだろうか。つい先日、ワイドショーにとびきりの燃料を投下された沢尻さんの慇懃無礼な態度も少しだけ納得。こんな映画、仕事とはいえ宣伝したくもないでしょうよ。まあ、だったらはじめから引き受けなさんなって話なんでしょうが。こんな薄っぺらな話に138分も費やすというのは手際が悪いと言う他ない。特に終盤約20分間のしつこさと言ったら筆舌にし難く、かと思えば田中哲司演じる男の存在が知らぬ間にフェード・アウトしていたり、石飛の部屋やメールアドレスをいつの間にか香恵が知っていたり、必要だと思われる描写が、おそらく無意識的に割愛されていたりもする。

一体、この売れっ子映画監督、行定勲という人は岩井俊二監督の下で何を学んできたのだろうか。毎度、表層的な映像美にばかり興味が注がれていて、まるで映画的なカタルシスを感じさせてくれない。またこれは原作、あるいは脚本も問題でもあるのだろうが、竹内結子演じる伊吹先生の虚構丸出しな善人ぶりが逆に白けさせる。しかしながら、それなりの説得力を持たせてしまう竹内結子の美しさはやはり驚嘆に値する。それにしても、沢尻さんが夕暮れの石階段で一人、マンドリンを奏でるシーンには大いに笑わせてもらった。あのギャグに辿り着くための壮大なコントなのだとしたら、この行定という人、侮れない。帰り際、私の心の内を代弁する声が背後から聴こえてきた。
「愛のうたを聴かせてよ」と。
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
怪奇!!幽霊スナック殴り込み! 16:58
評価:
Amazonおすすめ度:
怪作!!!
J太郎ワールド最高!
タイトルにやられた!
2006年
監督/脚本:杉作J太郎
出演:タナダユキ、島口哲郎、リリー・フランキー、上本輝雄、古澤裕介、横山剣(クレイジーケンバンド)、みうらじゅん

こうしたウ●コ然としたものは、きちんとウ●コとして扱うべきでしょうね。呑み屋の与太話としては面白いし、実際笑えるシーンも多々ありますし、撮影現場に居合わせたら腹がよじれるでしょうが、サブカル・ヒーロー勢揃いといった本質からかけ離れたセールス・ポイントで闇雲に持ち上げるのはいかがなものかという気はします。

しかも計算ずくの失敗なのでちっとも突っ込む気になれないところがちょっとつまらない。このあたり大仁田監督の『Monja』は素晴らしかったんですけどね。馬鹿映画は本当の馬鹿にしか作れません。よって本作はおバカを装った悪ふざけ。せめて撮影や照明ぐらいはプロに任せてもよかったのではないでしょうか。(映画のフリをするという意味でも)
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
キャビン・フィーバー 11:35
評価:
Amazonおすすめ度:
ベタで良かった
デヴィットリンチの弟子?
2002年
監督:イーライ・ロス
脚本:イーライ・ロス、ランディ・パールスタイン
出演:ライダー・ストロング、ジョーダン・ラッド、ジェームズ・デベロ、セリーナ・ヴィンセント、ジョーイ・カーン、ジュゼッペ・アンドリュース、アリー・ヴァーヴィーン / ロバート・ハリス、ハル・コートニー

本作は『ホステル』のイーライ・ロス監督のデビュー作ですが、基本的な物語の構造がこの頃から変わっていないんですね。要するに浮かれた若者が見知らぬ土地で酷い目に遭う、という。まあベタと言えばベタなんですが、デヴィッド・リンチのもとで修行したわりには非常にオーソドックスな語り口に好感が持てます。音で脅かすような演出はちょっと鬱陶しかったりすんですが、恐怖映画、それもデビュー作ともなれば、この堂々としたつくりは立派でしょう。

被害者となるメインキャストの若者5名も、キャラクターこそステレオタイプではありますが、消される順番がちょっと意表をつかれて面白い。絶対あのキャップ被ったヤツから殺されると思ったんですけどねぇ。カタルシスを得られる『ホステル』のラストも悪くはありませんが、個人的には本作のラストの方が意地悪くって好きですかね。パンケーキ少年はもちろん、主人公が貯水池に落っこちるところなんか爆笑モノですし、ビールでも飲みつつ「バッカだなぁ、こいつら」なんて言いながら観るには最適の映画かもしれません。
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
気球クラブ、その後 22:00
評価:
Amazonおすすめ度:
不完全燃焼
永作博美が魅せた迫真の演技
うまい映画です
2006年
監督/脚本:園子温
出演:深水元基、川村ゆきえ、長谷川朝晴、永作博美、西山繭子、いしだ壱成、与座嘉秋

モラトリアム期のイノセントな“あの頃”ですか。
秘密のメッセージをある種のマクガフィンとする後半の展開は悪くないまでも、リーダー村上(長谷川朝晴)の魅力が今ひとつ説得力に欠けるものだから永作博美さんのような可愛らしい女性が何故、彼に執着しているのかさっぱり判らないんですよね。だからせっかくのラストの熱演もどうにも乗りきれない。気球に夢中になってる彼が愛しいなら母性的、慈愛的視線で見守っているべきでしょうし、メンバーにも「村上さんから気球をとったら何も残らない」とまで言われるような人なわけで、気球と村上の人間的魅力は密接な関係であったのだろうと推察される。そう考えるとますます永作さん演じるミツコの“愛の動機”は不明です。リーダー村上がどこぞの御曹司なら納得もいきますが、無論そんな描写は一切ありません。

本作最大の肝が“ミツコの気持ち”である以上、評価は推して知るべし、といったところでしょうか。毎度、嫌悪の対象となる園節は相対的に控えめ(あるにはある、特にダイアローグで)なので精神的アレルギーはさほど発生はしませんでした。しかしながら、それもこれも元リボンが可愛かったからに他ならないのでしょうが。
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
キル・ビル Vol.1 22:38
評価:
Amazonおすすめ度:
どうりで、TVのロードショーで放送されないわけだ!!
チープで悪趣味爆発の傑作映画
おもしろすぎて、突き抜けてしまいました
2003年
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ユマ・サーマン、デヴィッド・キャラダイン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ、ヴィヴィカ・A・フォックス、マイケル・マドセン、サニー千葉、栗山千明、ジュリー・ドレフュス、ゴードン・リュー、國村隼、北村一輝、麿赤児、ラリー・ビショップ、前田愛、大葉健二

碌なスポンサーもつかないまま90分程度に圧縮され、深夜にこっそりテレビ放映されていた『キル・ビル』を数年ぶりに観て、タランティーノ監督が抱える資質と志向が一部乖離しているという問題を再考してみる。それは良しにつけ悪しきにつけ、ラノベ作家体質であるということ。いや、ラノベをどうこう言うつもりはないんです。今や無視できない一大市場であることは認識していますし、その中から注目すべき作品が多々生まれていることも把握してはいます。けれども、東浩紀氏の言葉を借りれば、大半の作品がいわば類型化された記号の組み合わせ、すなわちデータベース消費から成り立つ“いわゆる”ラノベ的作品においても、例えば“涼宮ハルヒ・シリーズ”のようなオリジナルのフック(って言いながら観たことないんで実際は知りませんけどね、でもこれほど多くの人を魅了しているということはまあそういうことなんでしょう)がなければ淘汰されるに決まっている。

さて、では『キル・ビル』はどうか。やはり全編に渡ってパッチワークとの印象は拭えないし、吹替版だったのであの拙い日本語の違和感は軽減されてはいたものの、どうしたって押し付けがましい趣味の羅列には閉口させられる。そもそもB級というのは本来積極的に志向すべきものではなく、背伸びしたにも関わらずA級に手が届かないその稚拙さが、かえっていじらしく、何故だか愛すべき存在として歴史の狭間に埋もれていくべきものであり、『ジャッキー・ブラウン』のような上質な犯罪映画を作れる人が敢えて貴重な時間を割いてまで取り組むべきようなものではない。

そもそもB級映画としたってあまり出来のいいものではなく、わずかに最初のターゲット(娘を持つ黒人女性)とのバトル、それから病院からの脱出劇に見るべき部分があった程度で、千葉ちゃんが絡むシーンなどはおしなべて退屈。で、最初に述べたようにタランティーノ監督がラノベ作家的だということに話を戻すと、それはキャラクター造型の巧みさに顕著であり、例えばトラボルタやパム・グリアを前線復帰させたのはその証左でしょうし、本作でもルーシー・リューが魅力的な悪役として描かれている。またそのキャラクター造型こそがラノベの肝であるわけですから、これはもう今更言うまでもなく疑いようがない。近日公開予定の『デス・プルーフ』もある意味懐古趣味の延長なんでしょうが、本作のような度を越した悪ノリでないことを祈るほかありません。
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
キサラギ 00:26
監督・佐藤祐市
脚本・古沢良太
出演・小栗旬、ユースケ・サンタマリア、小出恵介、塚地武雅、香川照之


ミステリの基本としてWhodunit(誰が)、Howdunit(どのように)、Whydunit(何故)というものがありますが、本作の場合その分類が困難であり、それだけ特異なミステリということは少なくとも言えそうです。強いて言うなら、目からウロコ系とか?

自殺した(と、警察発表されている)C級アイドル如月ミキ、その死の真相をめぐって密室劇らしい二転三転する議論を、彼女の熱狂的ファンである5人の男たちが戦わせるわけですが、果たしてその着地点がどこにあるのか、とりわけミステリ初心者であればハラハラドキドキさせられることでしょう。

※これよりネタバレを含みますので、未見の方はご注意ください。

冒頭、探偵役として名乗りをあげるハンドルネーム、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)によって追悼会はその表情を一変させます。そもそもこの追悼会を企画したのが彼であったというのが一つの伏線。彼は如月ミキの死は自殺ではなく、他殺であると自らの調査によって辿り着いた。すなわち追悼会を企画し、目星をつけていた容疑者を炙り出そうと画策していたわけです。

ここから物語はカタストロフィに向かってほぼノンストップ。
設定からも舞台劇がベースとなっていることは明白ですが、ソフトなユーモアと目まぐるしく変わる“クサい人物”、かと思えば明らかにされる彼らの身分(単なる一ファンではないという意味も含めた)が小気味よく展開され、飽きさせることはありません。

『ALWAYS 三丁目の夕日』で一山当てた古沢良太氏の脚本は、これでもかという伏線の配置とその回収はお見事というほかなく、5人によって導かれるもう一つの真相もまた、仮にそうであれば誰もがハッピーとなる結末で、それは作品の雰囲気にもマッチしており、いわゆるアイドルオタクの人畜無害且つ歪曲した“愛”が昇華され、理路整然とした爽快感を与えてくれます。

この理路整然というのはちょっとだけ厭味も含んでおり、確かにこの完成度に文句はないのですが、どうにも釈然としない気持ちがどこかにあるわけです。言うなれば精巧に作られた大仏様なんだけどご利益はなさそう、みたいな……。

その責任はおそらく役者陣には無い。相変わらず香川さんは素晴らしいですし、皆さんご健闘されていたと思います。
となるとやはり演出、佐藤監督にその所在がありそうです。
出演者5人による密室推理劇、という事前情報だけを頭に入れて鑑賞したのですが、ファーストカットは不可解なエレベーターの俯瞰ショット。さらにとあるビルの屋上とおぼしき一室の外観に移り、そこへやって来る家元(小栗旬)。

この脚本だったら普通そんなシーン入れますかね?
室内から絶対に一歩も出ない、という気迫、覚悟が物足りなく感じるわけです。だってそれがこのジャンルの醍醐味でしょうに。回想を絡めた如月ミキの部屋や事件の模様にしたって馬鹿丁寧にご説明いただかなくたって、観客は勝手に想像して楽しむんじゃないでしょうか。

ゴダール並の不親切さ(ってあれは一つの芸ですが)も困りものですが、過剰な親切はときにお節介ともなるわけでして。それが最後の最後でスパークしてしまったわけですね。とは言え、エンタテインメントとしては十分におつりの来る内容であることに異論はありません。ついでながら、画面が終始ものすんごい暗くて観づらかったです。



| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
岸和田少年愚連隊 カオルちゃん最強伝説 01:40
評価:
Amazonおすすめ度:
竹内力の新たな魅力炸裂
すごっ
最高の日本映画
2001年
監督・宮坂武志
脚本・NAKA雅MURA
出演・竹内力、野村真美、鈴木希依子、伊佐山ひろ子、田口トモロヲ、布川敏和

史上最強の15歳、その称号が相応しいのは村山薫か、はたまた花山薫か。それは喧々諤々の議論を経て尚、結論の出ない難題であります。ファイトスタイルはステゴロ、喧嘩っぱやいが女にゃ弱い、破天荒ながらどこか憎めないキャラクターという意味では共通しています。

『岸和田少年愚連隊』のいわゆるスピンオフというのでしょうか、それがまた人気シリーズへと飛躍した感のある本作。『地獄甲子園』だとか『コアラ課長』みたいな悪ふざけ系なのかなと勝手な推測で随分スルーしてきたのですが、恐る恐る蓋を開けてみればこれがなかなかどうして、よく出来たコメディーあり、青春映画であり、紛れもない怪獣映画でありました。宮坂監督は1998年に『大怪獣東京に現る』という異色の怪獣映画を撮っているわけですが、そのことと合わせて考えるとまた興味深い観方が出来るのではないでしょうか。

避けていた理由の一つとして、“カオルちゃん”というキャラクター像が私の中では井筒版『岸和田ーー』の小林念持で完成しており、竹内力バージョンには多少の抵抗感があったのも否定し難い事実。

しかしリキさん、あの顔をずっと(カメラを廻している間だけとは言え)維持できるってのは凄いことですよね。ちょっと練習してみたんですが、てんで無理でした。おまけにその顔で涎を垂れ流し、痰を吐き、咆哮し、暴れ狂うわけですから。うまチョコミルクのCMも傑作でしたが、あれは本作の応用だったんですね。

バカやるにしても作り手がバカじゃ駄目なんだということを本作は証明してくれています。ギャグにしたってかおるちゃんの存在そのものがギャグなので押し付けがましさは特に感じません。冒頭のスターウォーズのパロディくらいでしょうか。ただ、如何せん田口トモロヲ氏のヘタレキャラに破壊力がなく、拾えたはずの笑いが指の隙間からこぼれていった印象は否めませんかね。誰なら適任だったんだろう?木下ほうかさんとか?



| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
怪奇大作戦 セカンドファイル 昭和幻燈小路 19:23
評価:
Amazonおすすめ度:
悲しくも美しい映像
演出・北浦嗣巳
脚本・実相寺昭雄、玉城悟
出演・西島秀俊、田中直樹、青山草太、美波、寺田農、岸部一徳

一時期流行った昭和30年代懐古モノ、円谷版といったところでしょうか。
その昭和を演出するあたりではエフェクトだけに頼らず、近年あまり見られなくなった照明による雰囲気作りの意図がひしひしと感じられ、極彩色にも似たその光がある種の怪しさを上手く形成しています。新しさは感じられませんが、堅実なその仕事ぶりは実相寺氏のアイデアを尊重しているようでもあり、感慨深いものがあります。

また、主人公である牧(西島秀俊)の父との思い出も描かれ、新シリーズの中継ぎとして含みを持たせるような展開となっています。肝心の怪奇現象はある老人の念が一つの街をまるごとタイムスリップさせてしまうというもの。まったく科学的でなく、またその分析も特におこなわれないところが本シリーズらしく、「これでいいのだ!」と、ねじり鉢巻でもしたくなります。



| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
決闘 高田の馬場 20:55
1937年製作
監督・マキノ雅弘/稲垣浩
出演・阪東妻三郎

剣の腕は一流、でも普段は呑んだくれの駄目浪人、安兵衛をバンツマが好演しています。古い作品ですから、多少はこちらが歩み寄らねばならない場面もあるのですが、話の筋も明解ですし、中盤に繰り広げられる殺陣などはリアリズムとは程遠いものの(歌舞伎を意識したような決めポーズが挿入される)、それはそれで楽しめますし、ラストの決闘は歩み寄るどころか見事なものです。

ただ、ラスボスっぽいキャラが雑魚と同程度にあっさり倒されるので少しびっくりしましたね。ある意味新鮮です。全体的なトーンはコミカルで、当時の娯楽としては笑いあり、アクションあり、恋愛あり(これは微妙ですが)で相当贅沢な代物だったのではないでしょうか。

気になったのはバンツマが叔父の助太刀をするため、決闘場に走って駆けつけるくだり。土手の上を走るバンツマを、カメラは延々とパンして追うのですが、変化のないその単調な画の連続は果たしてどこまで意図したものだったのでしょうか。

戦前の作品ということでフィルムが50分しか残っていないというのもまた残念ですね。



| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
| 1/2 | >>