愛の巴投げ無節操で無責任な映画レビュー

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Dear Pyongyang - ディア・ピョンヤン 15:33
評価:
Amazonおすすめ度:
見るべき作品
親子の長ーい物語
万景峰号の一つの側面
監督/脚本/撮影:ヤン・ヨンヒ

両親共に朝鮮総連の幹部であるヤン・ヨンヒ監督のプライベート・ビデオのようなこの作品。先日、監督が出演されていた『たかじんのそこまで言って委員会』で存在を知りました。当時、実情をよく知りもせず“地上の楽園”などと朝日新聞をはじめとする大手マスメディアが持ち上げた北朝鮮への帰国事業、それによってヤン・ヨンヒ監督の三人の兄たちは新潟港から旅立ちます。その後、徐々に明らかとなる“地上の楽園”の内情についてはいまさら言うまでもありません。

日本で生まれ、日本の文化で育ったヨンヒ監督のメンタリティーはきわめて日本人に近く、しかしながらアイデンティティは朝鮮人のそれに近い(ように見える)。そこに横たわる溝と、普遍的なテーマでもある父と子の溝、それらを埋めるようにヨンヒ監督の独白が綴られていくわけですが、とりわけピョンヤンで撮られた映像が非常に興味深い。金正日政権への忠誠心が高いヨンヒ監督の両親の活動が評価されているからなのか、渡航した三人の兄たちはそれほど悪い暮らしぶりではなく、むしろ北朝鮮内では良い生活を送っているのだろうと推察される。だって家にピアノまであるんですから。無論、自由にビデオを廻させるくらいだから悪い側面など見せないよう、政府の配慮が介在しているのだろうが。

『在日』というデリケートな課題を扱ってはいるが、なにも特殊な親子関係ということはなく、例えばある種の宗教にも似たマインドコントロールされている者と、そうではない家族の物語として時に切なく、時に微笑ましく描かれている。父権の失墜などと言われる昨今、このオヤジの保守的な思想(北朝鮮云々はこの際抜きにして)はある意味貴重である。その父親の呪縛から抜け出そうとする娘(ヨンヒ監督)に対し、ついに彼は国籍に関して譲歩するわけですが、他人事ながら、あるいはだからこそ、そこに一抹の寂しさを感じながらも、現実の北朝鮮を知っていれば「まあ当然だよな」と思ったり。ともかく、北朝鮮がけしからん国家であることに異論はないが、激動の時代を、祖国を一途に信じて生きてきた男の生涯を、その思想を簡単に否定することは、少なくとも私程度の者には出来ない。
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ダーウィンの悪夢 14:38
評価:
Amazonおすすめ度:
グローバリズムの悪
楽しい映画ではないけど
無力感もしくは吐き気
監督/脚本:フーベルト・ザウパー

おそらく、本作を鑑賞した誰もがここに映し出されるどこか遠い国の窮状を憂うのでしょう。タンザニアのビクトリア湖に放たれたバケツ一杯分のナイルパーチという肉食魚が湖の生態系を破壊し、やがてそれは地域住民に少しの利益“らしきもの”と、それ以上に欧州に、日本に大きな利益を産み落とすこととなる。しかしながら、事態を追求するにつれ、徐々にもう一つの真実“らしきもの”が見えてくる。すなわち、魚を海外へ輸送する飛行機が往きの便で積んでくる荷物、それこそが大量の武器、弾薬ではないのか、という疑惑。無論、それらの武器はアフリカの内戦に用いられるのである。しかしここが大事で、あくまで疑惑の段階であり、情報源は住民の推察や現地ジャーナリストとやらの証言のみでしかなく、決定的な証拠を掴むには至っていない。

当然のことながら、ここで描かれる全てを鵜呑みにするわけにはいかない。何故なら、こうした作品は程度の差こそあれ、例えばマイケル・ムーアのように恣意的であることは否めないのだから。ところで、本作が訴える惨状の恩恵に授かっているはずのヨーロッパ、例えばフランスではつい先日まで若者の失業率が高いと報道されていたし、日本だって潤っているのは格差万歳な一部の人々だけである。他方、石油バブルによって景気の良いロシア(そういえば魚の輸送機もロシアからの便であった)なんてところもあったり。

ともかく、悲惨な環境であることは十分理解できるのだけど、あたかも負の元凶のように描かれるナイルパーチ放流以前と以後の対比がなく、考えようによっては現地の人々に仕事を提供してくれる魚なわけで、生態系云々は残念なことではあるけれど、あながち悪いことばかりでもないのでは、なんて思ってしまう。印象的だったのは魚工場で夜警をするおじさんの言葉。若い人たちの間では給料の良い軍隊が人気なのだそうだ。戦争になれば当然、人手が足らなくなる。すると多くの人々が軍隊に入れる。そこは給料が良い。つまり戦争を望む者が多くいるということ。日本でも30代フリーターの戦争を望む論文なんてのが発表されてましたけど、平和を望むのは現状維持したい者たちだけで、そうでない者たちは混沌が唯一の希望の光なのだろうなぁ、と感じた次第。そしてそれはよく理解できたりもするのだ。
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アポカリプト 14:28
評価:
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家族愛がテーマ?
元アクション俳優が撮った完璧なアクション映画
で、なにを描きたかった?
監督:メル・ギブソン
脚本:メル・ギブソン、ファルハド・サフィニア
出演:ルディ・ヤングブラッド、ダリア・エルナンデス、ジョナサン・ブリュワー、モリス・バードイエローヘッド、ラウル・トゥルヒロ、ジェラルド・タラセナ、ロドルフォ・パラシオス

もう『悪魔のいけにえ』くらいなら笑って見ていられるんですが、これは怖い。超怖い。人間の根源的な恐怖心(本作はそれを克服する物語でもあるのですが)に訴えかけてくると言いますか、人権のジの字もない社会の恐ろしさ、理屈の通用しない世界、そういったものが物語後半、怒涛のように押し寄せ、我々観客の精神を疲弊させます。

ところで、そんな物語の構造は至ってシンプル。しかしシンプルであるが故に、例えば父親を殺された本作の主人公ジャガー・パウと、彼に息子を殺された傭兵部隊のボスとの対決(またその決着のつけ方も伏線が活かされておりお見事)など、どこか物語は神話性、あるいは寓話性を帯びています。このことも含めてメル・ギブソン監督の前作がキリストの受難を描いた『パッション』であったことを鑑みれば納得というもの。

そうした物語の根底に流れる深刻なテーマがあるにはあるのですが、そんな事を忘れさせてしまうほど、緊張感に手に汗握るアクション映画としての出来が素晴らしい。こんなに主人公を応援したのはいつ以来でしょうか。また彼がいい男というか、いい顔するんですよね。的確な描写、且つ必要最小限の説明、とても第2作目とは思えない良い仕事をされています。メル・ギブソン監督の今後の活躍に期待大。
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ボーン・アルティメイタム 04:51
監督:ポール・グリーングラス
脚本:トニー・ギルロイ、スコット・Z・バーンズ、ジョージ・ノルフィ
原作:ロバート・ラドラム
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、デヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン、パディ・コンシダイン、アルバート・フィニー、ジョーン・アレン、ジョーイ・アンサー、エドガー・ラミレス

どうなんでしょうねぇ、全編通してほぼノンストップ・ハイテンションなわけですが。確かに前半の新聞記者が駅で追い詰められていくシーンなんかはグリーングラス節が炸裂していて迫力満点だし、その顛末もまたリアリティがあって面白いと思ったのは事実。では何が引っ掛かるのかと言うと、それはポール・グリーングラス監督の前二作『ボーン・スプレマシー』、『ユナイテッド93』でも強く感じたように、印象的な画がほぼ皆無であるということ。すなわち、ボーン・シリーズのような荒唐無稽なお話でも、さらには『ユナイテッド93』のように極限までリアリティーを追求した場合でも、まるでテレビの報道カメラのごとき切り取り方によってある程度の水準をクリアすること、物語=フィクションを構築することが可能である、とポール・グリーングラス監督は確信を得たのに違いないわけで。

なるほど確かにその甲斐あって先述した駅での攻防や、ハリウッド映画においては白眉とも言える格闘シーン(まあでも、この手の撮り方なら深作欣二監督がいますからねぇ)、カーチェイスなど目を見張る描写は冴えている。しかしながら、少なくとも私には本作を観終えた後、胸の奥に沈殿し、反芻するような“画”は残らなかった。翻ってそれが映画の良し悪しを決定づける問題なのかと言えば口篭もってしまうのも正直なところではあるのですが、個人的にはやはり寂しい気もするのです。せめてあの手法がアクションに限定されたものであれば、また印象も変わってきたのでしょうが。とは言え、けっしてつまらない映画というわけではないのですが、もう一度観たいという気には残念ながらなりませんでした。
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ヘアスプレー 00:13
評価:
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毎日がHappy★
映画館へ6回行きました。
映画も絶対お勧めです!
監督:アダム・シャンクマン
脚本:レスリー・ディクソン、ジョン・ウォーターズ
出演:ニッキー・ブロンスキー、ザック・エフロン、ジョン・トラヴォルタ、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン、クイーン・ラティファ、アマンダ・バインズ、ジェームズ・マーズデン

ジョン・ウォーターズ先生のオリジナル版はこの際置いておくとして、ブロードウェイ・ミュージカルを下手な小細工無しにここまでストレートに描ききった勇気は素直に賞賛すべきかと。こういうのがアメリカの底力なのかもしれない。古い作品のリメイクなのだから当然キャラクターからストーリーまで(やや露骨なまでに)既視感に溢れていながら2時間以上もの長尺を見せきってしまう仕事ぶりは、これはこれでもう立派なことである。ニッキー・ブロンスキーのコロンコロンとしたダンスや笑顔のキュートっぷりは言うに及ばず、年齢を感じさせないミシェル・ファイファーの美しさ、“売り”の一つでもあるトラボルタの好演も光る。キャスティングはまさしく適材適所。無論、肝心の(と言うか作品の90%以上を占める)歌と踊りも素晴らしい。

余談ながら、上映開始5分前に劇場に入ると、私の二つ隣の席には30歳前後と思しきがっちりした体つきの黒人男性が連れの女性(おそらく日本人)と座っておられた。果たして鑑賞後、彼がどんな感想を抱いたのか、テーマがテーマ(人種差別だとかそういうの)だけにちょっと訊いてみたい気がした。
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クローズZERO 00:18
評価:
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どちらかと言えば。
監督:三池崇史
脚本:武藤将吾
原作:高橋ヒロシ
出演:小栗旬、山田孝之、やべきょうすけ、高岡蒼甫、黒木メイサ、桐谷健太、上地雄輔、小柳友、渡辺大、深水元基、伊崎右典、伊崎央登、松重豊、塩見三省、遠藤憲一、岸谷五朗

原作である漫画を微塵も知らない者から言わせてもらえば、桐谷健太演じる男の病気や、大人の事情が見え隠れする黒木メイサのライブシーンなど、必然性を著しく欠いた描写に興を削がれることもしばしば。またそれらが渾然一体となって押し寄せるクライマックスの大乱闘シーンによってこちらもテンションの持っていき場を失い、右往左往する始末。非常に困ってしまう映画でありました。とは言え、手足の長い小栗旬の短ラン姿は決まっており、妙な貫禄を備えた山田孝之の表情も堂に入っていた。また、あの『デビルマン』の伊崎兄弟とスクリーンで再会できたことは奇跡的でもある。

不良漫画と言えば『ビー・バップ・ハイスク−ル』や『ろくでなしブルース』で時代が止まっている私などからすると、番長の座を巡っての覇権争い、ましてや派閥の取り込み云々といった過程や、父親を越えるためといった動機は不純な気がしてならない。不良などというのは今も昔も例えば目が合っただの、同じ匂いがするだの(服装等を含めた)、それこそ野生動物のような排他的な攻撃性を発揮しているだけに過ぎず、とってつけたような本作の動機や背景にはどうにも乗れなかった。例えば井筒映画でよく目にするケンカなど、そこにはなんの理由も利害関係もない。そうして一方的な奇襲が終われば再び復讐が始まるというような。まあ、そんなことどうでもいいのだけれど。

結構混雑していた劇場内、客層は原作ファンと思しき男性客と小栗ファンと思しき女性客とでほぼ二分されていた。原作ファンの反応はよく判らないが、小栗ファンなら満足いく出来なのではないだろうか。三池監督、一応の責任は果たされたようで。
| 映画 カ行 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
停滞中 17:43
多忙につき更新が滞っておりますが、落ち着き次第、再開してまいりますので、今後ともよろしくお願い致します。
| 雑談 | comments(0) | trackbacks(0) | posted by helmetbros -
ファントマ 危機脱出 20:15
評価:
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あのピカソもファンだった、古典パルプフィクションの映像化
笑えます
1964年
監督:アンドレ・ユヌベル
脚本:ピエール・フーコー、ジャン・アラン
原作:マルセル・アラン、ピエール・スーヴェストル
出演:ジャン・マレー、ルイ・ド・フュネス、ミレーヌ・ドモンジョ、ロベール・ダルバン、ジャック・ディナム、マリー・エレーヌ・アルノー

どこからどう見てもスケキヨ君な“百の顔をもつ男”怪盗ファントマシリーズは全体的にコミカルなトーンや、堀ちえみ顔負けのドジでノロマなジューブ警部をはじめ、随所に『ルパン三世』の源流らしきものを感じさせる野暮なツッコミは無用の娯楽映画であり、アクション映画としてもキートンばりのアクロバティックさで大いに楽しませてくれる。特撮ヒーローモノめいたベタなアジトや無個性な配下もご愛嬌。『TAXI』シリーよりもこっちを観るべき。
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トラック野郎 御意見無用 22:38
評価:
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伝説が始まった
笑いと感動です
1975年
監督:鈴木則文
脚本:鈴木則文、澤井信一郎
出演:菅原文太、愛川欽也、春川ますみ、中島ゆたか、夏純子、佐藤允、夏夕介、湯原昌幸、鈴木ヒロミツ、安岡力也、誠直也、小林千枝、芹明香、大泉滉

公開当時、まだ私は生まれてすらいないわけですが、このキンキンの可愛さったらもう!橋本弁護士並に7人も子供を養い、「なあ、かあちゃん」と相好を崩して笑うあの顔!きっとうつみ宮土里にはあんな笑顔見せたことないはずだ。鈴木則文監督のパワフルな演出手腕は以外にも(失礼)しっかり発揮されていて、ラブコメやら捨て子騒動やら、一体なんの話なんだか判然としないごった煮状態の物語をまさしく力技で90分に閉じ込めているのはさすが。DVDに収録された予告編にある、同時上映『女必殺拳 危機一髪』(主演:志穂美悦子)の文字が泣かせる。こんな濃い映画を二本立で観ていた当時の人は幸せだ。二本立興行はともかく、二番館、三番館文化の復活を望む。

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マーダー・ライド・ショー 19:07
評価:
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単にダメ映画
この監督が好きな人だけ見ればいい。
単純なホラーや映画しか見てこなかった人は見ないほうがええ
2003年
監督/脚本:ロブ・ゾンビ
出演:シド・ヘイグ、ビル・モーズリイ、シェリ・ムーン、カレン・ブラック、クリス・ハードウィック、エリン・ダニエルズ、ジェニファー・ジョスティン、レイン・ウィルソン、トム・タウルズ、ウォルト・ゴギンズ 、マシュー・マクグローリー、ハリソン・ヤング

熱心なホラーファンを公言する監督にかぎって、必ずと言っていいほど『悪魔のいけにえ』や一連のロメロゾンビ作品を神格化しますけど、もういいんじゃないですかね、そういう常套句。無論、映画史に名を残す作品であることに異論はありませんが、オマージだのリスペクトだの言ったって本作をはじめ、いずれも家元の縮小再生産という印象に落ち着いてしまうのだから。辟易するような既視感溢れるエピソードやキャラクターの羅列は、決してオマージュという言葉が万能の免罪符ではないことを証明しています。そもそもこのジャンルって非常に匙加減が難しく、ましてデビュー作ともなるとファンとして期待するのは小手先の器用さではなく、未知数の潜在能力を感じたいわけで……。その点、本作には辛うじて冒頭の悪趣味なアナログ・アトラクション・ツアー(是非ディズニーランドに設置すべき)、と警官に銃を向けた際の長い間に、ほんのりとその片鱗が窺えるのでした。
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